日本共産党に続き、れいわ新選組、社会民主党が18日までに安倍晋三元総理を「国葬」で追悼することに反対するとの声明を発表した。国政政党3党が反対する事態になっている。先の参院選比例代表での3党得票数は約720万になる。
れいわ新選組は「凶弾に倒れた安倍晋三元総理に改めて哀悼の意を表します。言論に対する一切の暴力行為を許容しないと宣言します」としたうえで「国葬で行うという政府の決定に強く反対する」とした。
理由について(1)現在の日本において、国葬を実施する法的根拠が存在していない=1947年に「国葬令」が失効以降、国葬を行う法的根拠はない。「仮に政府が『国民葬』のようなものを提案するのであれば、国民全体が納得いく根拠を示し、国会において議論を行うことを大前提にすべき」と国会での審議を求めている。
れいわ新選組は「安倍元総理の政策について肯定的に評価する意見があることは理解する」としたうえで「功績を評価する方々が葬儀の場で功績をたたえることは広く認められるべきであろうが、国葬として行うことは筋違い。支持者や特定宗教団体や党の関係者主催の葬儀を行えばよく、国葬という形をとる必要は全くない」。
二つ目の理由に(2)閣議決定で国葬を決定するとした理由の具体的な内容、をあげた=岸田総理は「日本経済の再生、日米関係を基軸とした外交の展開、東日本大震災からの復興」を上げている。
これに対し、長引く不況のさなか、2度に渡る消費税増税を断行したのは安倍政権。憲法上疑義のある集団的自衛権行使を可能にしたほか、日本の周辺諸国との距離も拡大した。政治家の非業の死と生前の政治的評価とは分けて論ずるべきと指摘。
れいわ新選組は「今回の事件は霊感商法などで社会問題化した新興宗教と自民党政治との密接な関係から生み出された悲劇とも言える。政教分離の徹底が必要であることも申し添えておく」と提起した。
社民党は服部良一幹事長は談話として「国葬に反対」と発表した。「安倍元首相の評価が大きく分かれるなかで国家が国葬として国民に政治的評価を事実上強制することは行うべきでない」。
「事件の背景はいまだ捜査中で、安倍元首相はじめ自民党と旧統一教会の関係が取り沙汰される事態になっている。こうした点の解明、検証を抜きに国葬を実施すべきではない」と理由にあげた。
松野博一官房長官は15日の記者会見で、国葬に反対の意見があるとの記者団に「国民に(政府の)考えをしっかり説明させていただきたい」とした。国葬基準について「諸般の事情を踏まえ、国民の心情、遺族の気持ちを総合的に勘案」とした。
国民の『信頼』と『共感』を得られる説明ができるのか、「遺族の気持ち」を国葬判断基準に入れ政府が説明したため、遺族に批判が向く可能性も出ている。19日以降の動向が注視されている。(編集担当:森高龍二)