総合海洋政策本部参与会議(座長・田中明彦・独立行政法人国際協力機構理事長)は20日、岸田文雄総理に政府の海洋政策の取組みに参考となる意見書を提出した。
洋上風力発電に係る海域利用のルール化や海上法執行能力の強化、シーレーン沿岸諸国との安定した関係の構築、経済安全保障に資する海洋エネルギー・鉱物資源の開発、国益・世界益に貢献する観測データの収集・解析・利活用や海溝型巨大地震の防災減災など海のデジタルトランスフォーメーションによる科学技術・イノベーションの推進などをあげている。
参与会議は「政府は次期海洋基本計画策定にあたり、我が国周辺海域を取り巻く情勢がより一層厳しさを増している。中国海警局に所属する船舶による領海侵入、外国軍艦による領海内の航行等の活発化等、我が国の海洋権益はこれまでになく深刻な脅威・リスクにさらされている」とし「総合的な海洋の安全保障は非常に重要であり、引き続き次期計画の主柱とすべき」としている。
また「新たな海洋産業の育成、既存海洋産業のさらなる発展、CO2削減のための環境関連技術開発、持続可能な開発目標(SDGs)に係る国際的な取組みに向けた積極的な貢献等への期待が高まっている」として「持続可能な海洋の構築に向けた取組みをカーボンニュートラル、SDG14(海の豊かさを守ろう)にも着目し、新規の主要テーマに追加すべき」とした。
海上法執行能力の強化に関しては「海上保安体制の強化を着実に進め、尖閣領海警備体制や海洋監視体制を強化するとともに、海上保安庁と海上自衛隊との間で協力連携体制の構築・強化を継続的に行うべき」とした。
その際、「連携強化に関しては可能な範囲で国民にアピールする必要がある。周辺海域の情勢の変化に応じて領海警備に万全を期すためのハード面及びソフト面の観点からの不断の議論を行うべき。日米同盟の堅持を内外に示すとともに、東シナ海・南シナ海周辺地域の海上保安機関との連携を推進するべき」としている。(編集担当:森高龍二)