世界中で物価上昇が止まらない。ウクライナ情勢などを契機に世界的な需給ミスマッチが拡大しており、エネルギー価格と穀物価格を中心に多くの国で物価高騰が続いている。EU統計局の発表によれば、5月のユーロ圏の消費者物価指数は前年同月比で8.1%の上昇、米国でも4月の指数8.3%上昇と予想を上回るインフレとなっている。日本は4月のコア指数で2.1%上昇であるが電気代では21%と大幅な上昇で、帝国データバンクの主要食品メーカーの値上げ計画調査(6月1日発表)によれば今年中に平均13%値上げ(調査時点)となっており、今後家計はますます苦しくなりそうだ。
海外在住日本人向けプラットフォームを運営するロコタビが、世界64カ国に住む368名を対象に「世界的な物価上昇と円安による生活者への影響の実態」に関するアンケート調査を実施、6月3日にその集計結果を公表している。これによれば、93%の者が「物価上昇で損害を受けている」と回答しており、世界中の人が既にインフレで生活を圧迫されている状況のようだ。具体的には、「ガソリン価格の上昇で交通費が多くかかっている」(ベトナム)、「食料品、日用品など今までに無いテンポで価格が上昇している。」(ドイツ)、「出かける度に、値段が上昇しているので、予算を立てられず 限度を直ぐに超えてしまう」(トルコ)などとなっている。
値上がりした費目については、「飲食物」が85.6%と最も多く、次いで「交通費、燃料費」82.1%、「日用品」69.3%、「住宅費、水道光熱費」63.9%となっており、やはり飲食料品やガソリンなど生活必需品の価格高騰が中心となっているようだ。自由回答を見ると、「米や惣菜類は10%以上値上げした」(台湾)、「コーヒー1杯が5ドルか6ドル、もしくはそれ以上」(オーストラリア)、「食料品は、相対的に10%位上がっている」(イギリス)、「スーパーの肉は、確実に20%アップ」(アメリカ)などと飲食料品での大幅値上げの指摘が目立つ。
今後の物価動向についての予測については、「物価上昇はしばらく続くが、落ち着く」が39.1%で約4割、「物価上昇が続き、落ち着く見込みはない」は57.9%となっている。両者を合わせると97%の者が少なくともしばらくは物価上昇が続くと予測しており、6割近くの者は近いうちに物価上昇が落ち着くとは考えていないようだ。ウクライナ情勢の早期安定が望まれるが、その長期化が指摘されており、これがインフレ長期化見込みの背景になっていると考えられる。(編集担当:久保田雄城)