今夏、日本全国に広がった節電の意識。11月1日に経済産業省から今冬における電力需給対策が発表され、今度は冬季向け節電対策に向けて、様々な業界も動き出している。
発表された今冬の節電要請は関西電力管内で10%以上、九州電力管内で5%以上となっており、今回は需要側の電気使用量の合計ではなく、ピーク期間・時間帯の使用最大電力の抑制としている。エネルギー問題に関してはかなり先を行く住宅業界はどのような取組みや商品開発が行われているのだろうか。
将来の低炭素化社会を目指し、スマートハウスの普及にも力を注ぐ各住宅メーカーだが、太陽光発電設備導入住宅は震災以降、急激に増加傾向を示し、また”創エネ”としては家庭用燃料電池の普及にも積極的だ。大和ハウスは業界初のHEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)制御による家庭用リチウム蓄電池を登載したスマートハウスを販売。積水ハウスは先日、発電効率の高いSOFC型の小型燃料電池を世界で初めて市販機として発売し、今後の燃料電池普及に向けての足がかりを作っている。
その他にも、イベントやコンテストによって、住む人達に節電の意識を高めてもらい、また今後の商品開発に役立てる取組みも行っている。
アキュラホームは今夏国内に住む人を対象に、「アキュラ節電の匠コンテスト」を実施し、その受賞者を11月1日に発表した。900名以上の応募があり、「電力削減」部門では削減率95.6%という成果を上げた応募者もおり、「創意工夫」部門では、毎日の消費電力をグラフにして”見える化”することで家族全員の節電意識を高めるというユニークな試みも見られた。寄せられたアンケートには『家族一緒に取り組んだ』『家族で楽しみながら節電した』などの意見が多く、『家族の絆』を育む機会にもなったようだ。
夏季とは違い需要のピークが朝・夕の2回となる冬季の節電は逆に難しいとの声も上がる。だからこそ、家庭での節電対策はなおさら重要だ。特需をもたらす商品の登場も結構だが、最終的には消費者の意識の高さが一番重要。そのためにもハウスメーカーが行っているようなイベントを継続性を持って実施するなど、節電対策に向けた啓蒙活動が活発になることを期待したい。