今年の夏は、酷暑もさることながら、全国各地で大雨のため、河川の氾濫や土砂災害等による甚大な被害が発生した。中でも被害の大きかった青森県、山形県、新潟県、石川県、福井県などでは、今なお復旧作業が行われており、多くの家族が避難生活を送っている。
自然災害の発生は、専門家でも正確に予測することは難しい。ある程度の予兆などは察知できたとしても、それを未然に防ぐことは不可能だ。5分後に被災者になっている可能性もある。やはり普段から、いつ自然災害見舞われてしまっても対応できるように、家庭や職場で防災対策を充分にしておくことが必要だ。そして、日本は地震大国といわれているが、近年では大雨や台風などの自然災害も多発しており、地震だけでなく、様々な自然災害を想定した防災対策を心掛けるようにしたい。
災害が発生した時、まず何よりも優先すべきは「命」だ。そして、とりあえず命の保証が出来たら、次に必要となるのは、命をつなぎとめる、「水」「食料」「電力」など、ライフラインの確保になる。 とはいえ、多くの家庭や職場では最低限の避難グッズをリュック一つ分くらい用意しているくらいではないだろうか。とくに食料品や水については、消費期限の問題もあって、備蓄が疎かになりがちだ。また、「災害にあっても、すぐに救援物資が届くだろう」という思い込みで、2、3日程度の食料品しか備蓄していない家庭も多いようだ。しかし、大震災のような大きな災害が発生した場合、救助の手が足りずに自宅の中に数日間、取り残されてしまう可能性だってある。
例えば、東京都では11月19日を「備蓄の日」として、都民の備蓄推進プロジェクトを推進している。東京都防災ホームページにおいても、様々な防災対策を紹介しており、その中には「東京備蓄ナビ」という項目も設置されており、ナビに合わせてチェックすることができる。家族構成に合わせて、日常的な備蓄に必要な品目や数量を把握し、足らないものを購入することもできるので、他府県の人にも参考になるのではないだろうか。
また、もしもの時に備えて、災害時の水を確保しておくということも重要だ。
全国のスーパーマーケット、ドラッグストアに約2800台の水の自販機を展開するウォーターポイント株式会社は今年6月、災害時の給水所としても活用できる宅配水の製造工場「ウォーターポイント八王子」を稼働させた。災害時でも “不断水”で、1日に約2000人分の飲料水・生活用水を地域住民に共有することができるという。災害の発生直後から2、3日間は1人1日あたり3リットルの飲料水が必要といわれている。仮に4人家族が3日間、自宅避難をすると考えると、36リットルの飲料水が必要になる。それだけの量の水を家庭で常備しておくのは、現実問題として不可能だ。ウォーターポイント八王子のような施設があるだけで、被災時の不安はかなり軽減されるだろう。
とはいえ、非常時の給水施設がある地域は、まだまだ珍しいのが現実だ。そこで、もう一つの方法としては「井戸」を活用するという手がある。平常時は掃除やガーデニング用の水などとして利用し、非常時には非常用の水として、井戸から組み上げた地下水を活用する。そんな「井戸のある暮らし」を以前から提案しているのが木造注文住宅メーカーのアキュラホームだ。同社の施工する井戸は、大きな穴を掘る釣瓶井戸などとは違い、直径30㎝程度の穴を掘り、穴が見えないようにポンプを設置するものなので、転落などの心配もなく、子どものいる家庭でも安心して使用できる。電動ポンプなので労力もいらない上、電源は標準搭載されている太陽光パネルの発電によるものなので、災害時も稼働する仕組みだ。
「備えあれば憂いなし」という言葉は、誰しもが知っているが、それを実践できている人は少ない。折しも、1日の防災の日から始まる9月は防災月間だ。今一度、家庭の防災対策をチェックしてみてはいかがだろうか。(編集担当:今井慎太郎)