東日本大震災から10年。民間企業が取り組む、コロナ禍の防災・減災・支援策

2021年03月21日 09:42

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世間は未だ、新型コロナ禍による混乱の中にあるが、日本は地震や台風など、自然災害も多い国であることを決して忘れてはならない

世間は未だ、新型コロナ禍による混乱の中にあるが、日本は地震や台風など、自然災害も多い国であることを決して忘れてはならない。東日本大震災から10年。3月に入るとテレビでも、多くのニュース番組や特集番組で取り上げられたことから、災害対策の重要性と必要性を改めて認識したという人も多いのではないだろうか。災害は当然、コロナ禍だからといって待ってはくれないのだ。

しかし、自然災害に立ち向かうためには、個人や会社の防災策だけでは限界がある。災害が発生した際の停電や断水時、とくに発生直後は行政の救援が遅れてしまう可能性も考えられる。そこで地域の住民と企業が一体となって共に助け合う相互扶助の体制が大きな力となるのだ。

例えば、木造注文住宅メーカーのアキュラホームは、災害発生時に同社の展示場施設を地域住民に開放し、電力や生活用水を提供する支援活動を行っている。この活動は同社だけにとどまらず、賛同する地域工務店なども増えて拡がりを見せており、昨年9月の防災月間には、全国の約200拠点が防災機能を整備するに至った。アキュラホームは東日本大震災から10年を迎えるこの節目に、さらに多くの取引企業からの賛同を募り、災害時支援の輪を広げるための活動を強化していく。

 また、三井化学グループは、旭化成株式会社やアスクル株式会社、キリン株式会社など、民間企業17社および非営利組織26団体とともに、日本初の民間主導による緊急災害対応アライアンス「SEMA」を設立した。これは国内で大規模な自然災害が発生したときに、インパクトを最小限に食い止め、早期復興を促すため、民間企業とNPOが連携することで企業が持つ物資やサービス等の支援をワンストップで提供する仕組みだ。具体的には、平時から加盟企業や団体が所有する物資やサービス等をリスト化しておき、災害発生時にはリストをもとに各社が行う支援をパッケージ化して迅速に被災地に届ける。もちろん、公共機関との連携も密に行い、支援の漏れや無駄を減らし、被災自治体の負担削減に貢献するという。

 民間の復興支援としては、NPO法人お茶の水学術事業会や学生ボランティアチームが中心に活動を進めている「夢のつばさプロジェクト」がある。これは東日本大震災で保護者を亡くしてしまった子どもたちの長期的な支援を行うもので、設立から10年が経った今でも、ブリヂストンなどの企業が協賛を継続している。被災地住民にとっては、一過性の支援だけではなく、長期にわたる支援を行ってくれる組織があることは非常に心強いことだろう。

 自然災害は他人事ではない。いつ、どこで、思いもよらない災害に見舞われるかは誰にも予測なんてできないのだ。自治体や企業、団体などが、どんな防災策に取り組んでいるかを平時からしっかりと把握しておき、いざという時にそれを活用できるようにしておくことも、個人で取り組める大切な減災策や防災策なのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)