憲法53条に基づき、衆院議員126人、参院議員77人が連名で8月18日に衆参それぞれ要求した「臨時国会召集」に対し、召集期限規定がないことを理由に、政府が応じず、議論すべき課題山積の中、召集がないまま20日以上過ぎている。
8日には安倍晋三元総理の国葬儀を議題に、衆参・議院運営委員会で「閉会中審査」が短時間実施された。
しかし法的根拠を欠く国葬で、安倍元総理と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関係を整理しなければ国葬への国民の理解は程遠い。しかし、安倍氏との関係質問に対して、山口俊一衆院議運委員長は「直接、議題(国葬)と関係ないことにお答えいただかなくて結構です」と岸田総理に述べ、質問に壁を作ったため、審議が深まるのを妨害した。
参議院では立憲・吉川沙織議員が憲法に基づく国会召集要求には「内閣の責任者たる総理が決めれば、すぐ召集できるが」と臨時国会での議論を求めたが、松野博一官房長官は「指摘通り、内閣で決定すべきものだが、召集時期については内閣が決定し、合理的な一定の期間内ということで、与党とよく相談をして」と従来通りの口上で、逃避した。
今回の閉会中審査状況からも、国会を召集し徹底論戦ができる「予算委員会」で議論しなければならないことが浮き彫りになった。
野党各党は立憲と共同し「国会法」を改正し、憲法53条に基づいて、衆参いずれかの議院の4分の1以上の議員から臨時国会召集要求があれば『要求日から20日以内に、国会を召集しなければならない』との規定を設けることが必要だ。
立憲の泉健太代表は法改正へ準備を進めるとしている。立憲の安住淳国対委員長も7日「召集要求から、何日以内に国会を開会しなければならない、と法で定めることは一つの考え方」とした。
安住氏は「国会法改正が必要との認識が(野党間で)一致できるのであれば、野党みんなで話をし成立させるというのは一つ。法技術的に検討するよう指示した」と語った。
「召集要求日から20日以内に開会しなければならない」とする案であれば、共産・社民・国民だけでなく、維新も賛成するはず。
自民党自身も2012年発表の自民党憲法改正草案で憲法53条に関して「内閣は、臨時国会の召集を決定することができる。いずれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があったときは、要求があった日から二十日以内に臨時国会が召集されなければならない」と規定している。
なので、まさか「反対」はできないだろう。反対に回れば、憲法改正内容に対して論理的破綻を招くことになる。
自民党は、この項目付加理由について、党内議論で「臨時国会の召集要求権を少数者の権利として定めた以上、きちんと召集されるのは当然という意見が大勢だった」としている。
この観点からも賛成せざるを得ない。是非、全会派一致で国会法改正を実現させていただきたい。国民はその動向を注視しよう。(編集担当:森高龍二)