総務省 NHKに遵守の取組み定期的公表を要請

2022年09月20日 08:24

 新型コロナウイルス感染症拡大を懸念し、東京五輪開催に反対する人たちのデモを金銭で動員をしかけた運動のように貶める報道につながったNHKBS1スペシャル「河瀨直美が見つめた東京五輪」に対し、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は「内容に重大な放送倫理違反があった」と意見書をまとめ、NHKに通知したが、小笠原陽一総務省情報流通行政局長もNHKの前田晃伸会長に対し18日までに「公共放送としての社会的責任に鑑み、誠に遺憾」としたうえで(1)再発防止策の徹底(2)必要に応じた再発防止策の見直し(3)遵守状況の定期的公表を行うよう要請すると「注意」を行った。

 小笠原情報流通行政局長は「放送法において放送事業者は放送番組の種別及び放送の対象とする者に応じて放送番組の編集の基準を定め、これに従って放送番組の編集をしなければならないとされているが、今回の事案はこの規定に抵触すると認められる」と指摘。

 NHKが今年2月、この問題について、2014年5月14日放送の「クローズアップ現代」に関する問題を受けて設けた『取材・制作の確認シート』『複眼的試写』『匿名チェックシート』といった再発防止策が守られておらず、チェック機能が働かなかったとしている調査報告書を上げたうえで、再発防止徹底とその取組み・遵守状況の定期的公表を行うことを求めた。

 NHKはBPO検証委の指摘に対して「放送の基本的な姿勢を再確認し、現在進められている再発防止策を着実に実行して視聴者の皆さんの信頼に応えられる番組を取材・制作してまいります」とコメントしている。今後は遵守状況の定期的公表への対応も求められている。(編集担当:森高龍二)