日本の企業・組織でもDXが推し進められている。DXのメインストリームは、AIやアナリティクス技法を用いて蓄積されたデータを活用し戦略的な意思決定につなげていくことであるが、日本では人材の不足や組織の理解不足によって、これが円滑に進んでいないと指摘されている。グローバルITコンサルタントのガートナーの調査によれば、日本企業の多くがデータ活用に関して組織全体での積極的な取り組みをしておらず、全社的な成果を得るまで至っていないようだ。
10月6日、ガートナージャパンが7月に実施した「日本企業におけるデータ活用の状況についての調査」の結果レポートを一部公開している。これによれば、自社のデータ活用の成果について聞いたところ、「全社的に十分な成果を得ている」との回答は2.2%のみであり、大多数の企業では全社的成果を得るまでに至っていないようだ。一方、「ある程度の成果を得ている」は78.8%となっており、ほとんどの企業でデータ活用の取り組み自体は実施されているようだ。
自社組織の取り組み姿勢について尋ねた設問では、「非常に積極的」との回答は8.3%のみで、大多数の企業では全社的取り組みが消極的なようだ。消極的になる理由としては、「必要なデータが手に入らない」60.6%、「スキル不足」54.5%、「周囲が消極的」36.4%の3つが上位に来ており、スキル不足に加え組織全体での理解が得られずデータ活用の取り組みが消極的になっている様子がうかがえる。逆に積極的になる理由では、「データが意思決定に役立つ」71.7%、「ビジネス状況を把握できる」68.6%、「関係者への説得力が向上する」65.9%などとなっている。データ活用に関する従業員教育や資格制度の状況について尋ねた結果では、「教育や資格制度、手当はない」を選択した組織が43.6%で最多となっている一方で「社内に従業員教育制度がある」は24.6%にとどまり、人材育成についてもあまり積極的とは言えないようだ。
ガートナージャパンの一志達也シニア・ディレクターは、「そもそも個人や当該組織がデータ活用に積極的でなければ、活用のアイデアは生み出されず、成果の獲得に向けて努力しようとする姿勢も乏しくなる」、「組織全体で十分なビジネス成果を得るためには、組織的な機運や雰囲気も含めた積極性を十分に高めつつ、教育や支援といった環境、資格や評価といった制度も整備して、継続的に後押しすることが肝要」と指摘している。 (編集担当:久保田雄城)