2023年度 第2四半期決算説明会をオンラインで開催したトヨタ自動車 写真は同社役員の取締役副社長 近健太氏、以下、執行役員 長田准氏、経理本部本部長 山本正裕氏、調達本部本部長 熊倉和生氏、生産本部副本部長 中村好男氏
トヨタ自動車は11月1日、2022年4~9月期の連結決算(国際会計基準)を発表した。それによると純利益は前年同期に比べ23%減の1兆1710億円だった。半期として2年ぶりの減益だ。鉄やアルミといった原材料高騰が重荷となり、円安効果によって同年度通期の売上高(営業収益)は、計画の1兆5000億円上方修正した36兆円を見込むものの、為替相場の円安効果による利益アップを相殺した恰好だ。ただ、2023年3月期の純利益は前期比17%減の2兆3600億円とする通期予想は当初の発表を据え置いた。
なお、2022年度通期(2022年4月~2023年3月)の世界生産台数(トヨタとレクサス合計)を下方修正し、920万台とする発表した。2022年度の減産台数は50万台となる。
トヨタによると今回、920万台に引き下げた世界生産について。「955万台くらいなら、という話はあったが、この先のリスクも読み切れない」ためだとした。
11月1日のオンライン連結決算会見で、トヨタ生産本部副本部長・中村好男氏は、「車載半導体の不足に加えて、中国・上海のロックダウン、国内の自然災害などの影響によって、世界生産台数を下方修正した。クルマをつくりたくてもつくれない状況が続いている」と述べている。
減産への影響は半導体不足だけではない。この半年、トヨタを含めた業界を取り巻く経営環境は大きく変化した。円安や金利高、エネルギー・資材の高騰、半導体を含む部品不足といった複数の難題が同時に起きて、「これまでにない大きな変化が起こっている」(中村好男氏)と危機感を募らせた。
生産台数の下方修正とともに、2022年度通期の世界販売台数(連結販売台数)も、前回計画の885万台から880万台に下方修正した。トヨタによると日本と北米、欧州で販売台数が減る見通しだという。
いっぽう半導体不足や原材料高の長期化、ロシアからの事業撤退などの減益要因を踏まえ、同通期の営業利益は2兆4000億円とする前回計画を据え置いた。
今回の決算を総括して取締役副社長の近健太氏は、「上期は営業減益となったが、一定の水準は確保した。世界生産・販売台数についても、高水準を維持できた。サプライヤーとの関係を強化してきたこれまでの取り組みの効果が大きい。時間はかかるかもしれないが、挽回に向けて努力を続ける」と締めくくった。(編集担当:吉田恒)