日本経済団体連合会の十倉雅和会長は7日までの記者会見で経済産業省の総合資源エネルギー調査会・電力・ガス事業分科会原子力小委員会が11月28日にまとめた「原子力政策の基本原則と政策の方向性・アクションプラン(案)」に関して「原子力規制委員会の安全規制遵守を前提に原発の運転期間の延長を認めるとともに、次世代革新炉の開発・建設、バックエンドへの対応など、GXに向け、安全性・コスト両面において必要な施策が網羅されている」などとして「良い方向である」と評価した。
原発の運転期間に関してアクションプラン(案)では運転期間を「原則40年」とすることはそのまま、原則を保持しているが、延長を認める20年に関しては「(1)東日本大震災発生後の法制度(安全規制等)の変更に伴って生じた運転停止期間(事情変更後の審査・準備期間を含む)(2)東日本大震災発生後の行政命令・勧告・行政指導等に伴って生じた運転停止期間(事業者の不適切な行為によるものを除く)(3)東日本大震災発生後の裁判所による仮処分命令等その他事業者が予見しがたい事由に伴って生じた運転停止期間(上級審等で是正されたものに限る)」はこの期間から除外するとして、実際には施設の劣化が進んでいるにも関わらず、この期間を除くことで「最長60年」という運転期間限度を事実上延長するものになっている。
この日の会見で、防衛費の財源について「防衛力を抜本的に強化すべく防衛費を増額するという政府・与党の方針は正しい」としたうえで「財政支出の効率化や歳出削減をしっかりと行い、その上で、どういったタイミングと負担で、どの財源を充てるのかを慎重に議論していただきたい」と11月の会見では「財源として法人税が先行して議論されているとの報道もあるが、事実とすればいかがなものか。日本経済の持続可能性も踏まえてバランスのとれた議論がなされることを期待したい」と法人税増税をけん制していたが、今回の会見では増税の対象財源について例示しなかった。(編集担当:森高龍二)