国土交通省、2025年以降「エコカー減税」、ガソリンだけを走行エネルギーとするクルマは対象外

2022年12月18日 10:40

Fairlady Z Ver.ST

ガソリンエンジンだけで走るクルマは、どんなに燃費が良くてもエコカー減税の対象外となる 写真はV型6気筒ガソリンターボエンジンだけを搭載する日産フェアレディZ

 政府はクルマの購入・取得時および、3年後の1度目の車検時に課す重量税を燃費性能に応じて軽減していたエコカー減税を見直す。2025年5月以降は事実上、ガソリンのみを走行エネルギーとするクルマは、減税の対象車から外すことで最終調整に入った。電気自動車(EV)は2回免税とする優遇を維持して普及を促す。

 ただ、半導体部品などの不足で納車が遅延していることを鑑み、現行の燃費基準の減税処置を2023年末まで延長する。2024年から適用する基準を段階的に厳しくする計画だ。自民党税制調査会で最終案として議論し、2023年度与党税制改正大綱に盛り込む。

 一方で、ガソリン税を徴収できないEVが普及した際の税収確保策として検討課題に浮上していた「走行税」は、今回の大綱で「中長期課題」に明記しない。ただ、自工会会長でトヨタ社長・豊田章男氏からも提起されている、総合的な自動車税制の見直し議論を深める。

 現行の制度では、ガソリン車やハイブリッド車については2030年度燃費基準を120%達成した車種は取得時と初回車検時に支払う重量税2回分が免税となる。75%達成すれば1回目は50%の減税、60%達成なら25%減税と燃費性能によって差がつけられている。

 つまり、現行制度で優遇を受けられる最低ラインは、2030年度を目標とする燃費基準の60%達成だ。が、2024年1月以降は70%達成、2025年5月から2026年4月末は80%達成に引き上げる。ただ、2025年5月からの1年間は75%達成車でもエコカー税率(車重0.5tあたり2500円)とし非エコカーと差別化する。現在は特別な優遇策があるクリーンディーゼル車も同様の分類に切り替える。

 つまり軽自動車を除けば、現行のガソリンのみで動くクルマはエコカー減税対象から外れる見通し。現在、販売されている新車のうち7割がエコカー減税の対象で、基準を引き上げて5割程度にまで対象車を絞り込み、税金不足を補う狙いが透けて見える。(編集担当:吉田恒)