政府は東京電力福島第一原発事故で増え続ける放射能汚染水のALPS処理水(放射性物質トリチウムを含む)を今年春から夏ころにかけて海洋に放出する方針と発表した。
松野博一官房長は13日の記者会見で、自らが議長を務めるALPS処理水の処分に関する基本方針の着実な実行に向けた関係閣僚等会議を同日開き、今後の取組みを決めた、と述べた。
そのうえで「今後、ALPS処理水の海洋放出前にはIAEA(国際原子力機関)の包括的報告書の発出、放出直後のモニタリングの強化、被災地水産物の消費拡大、水産物の流通維持に係る環境整備等に取組んでいく」と述べ「海洋放出の時期については放出設備工事の完了、工事後の原子力規制委員会による使用前検査やIAEAの包括的報告書等を経て、本年春から夏頃と見込んでいる」と語った。
松野官房長官は「政府全体で全力を挙げ、安全性の確保と風評対策の徹底に取組んでいく」と強調した。
政府は東電に対し(1)処理水に含まれる放射性物質の客観性・透明性の高い測定の実施(2)風評影響を最大限抑制するためのトリチウム排水濃度と放出量の管理(3)万一に備えた緊急停止設備の設置(4)処理水の処分業務に特化した組織の設置を求める。
また東京電力及び第三者機関(東京電力が委託する外部機関)が希釈前のトリチウム、トリチウム以外の放射性物質の濃度をタンク群ごとに測定し、トリチウム濃度が1500Bq/L未満となるよう確実に希釈を実施する。
当面の間、海水と処理水が混合・希釈していることを、立坑を活用し直接確認することや地元自治体等の協力の下、測定時のサンプル採取の適切性等について確認する、年度毎に次年度以降の放出計画を見直し、年間に放出するトリチウム量を可能な限り低減、設備の保守管理の着実な実施を行う、処理水はJAEAなどの第三者による測定・評価を行い、公開するなどとしている。
東京電力は処理水放出開始後も海域モニタリングを継続し、放出前との比較も行いながら、分かりやすい情報公開を随時実施し、放出設備の稼働状況、放出を行うタンク群の分析結果等も随時発信していく、などとしている。(編集担当:森高龍二)