政府の学術会議対応「独立性踏みにじる」蓮舫氏

2023年01月29日 10:05

 「日本学術会議」の独立性をいかに担保できるか、日本学術会議法には会議の独立性が明記され、政府の有識者会議や諮問機関ではないのだが、今、その独立性が危機に晒されている。

 岸田文雄総理は「政府と結論の共有を求めるものではない」などとしているが、政府は日本学術会議の会員選考に意見を述べる仮称・選考諮問委員会を設置して、新会員を選ぶ際に諮問委員会の意見を聞かなければならない姑息な仕組みも計画しているそうだ。

 岸田総理は国会答弁で「(日本学術会議には)国費が投入されている。国民から理解され、信頼される存在であり続けるためには徹底した透明化やガバナンス機能の強化が必要だ」などと法改正を進めることに正当性を主張する。

 立憲民主党の蓮舫参院議員は「国から税金の支援があるからと言った意味不明な岸田総理答弁。議場に反発の声が上がると『総理の言うとおりだ』という自民党長老議員の野次。学問の自由、独立性を踏みにじる政府の姿勢は明らかに間違い」と日本学術会議への政治介入を問題視した。ネット上でも「透明性が大事というのであれば、政府がまず、2020年の会員候補6人を任命拒否した理由をこそ、国民の前に明らかにし、透明性を示すべきだ」と最もな声があがっている。

 佐藤学・東大名誉教授は今月14日の記者会見で、日本学術会議に対する政府のやり方について「プーチン大統領がとった方法と同じだと感じている。ロシア科学アカデミーは2013年に国家機関になり、プーチン大統領による強力な干渉が始まった。それが戦争にまで突き進む一歩だった。ロシアにおける学問の自由の侵害はメディアの侵害に及んだ。それから戦争に対する総動員体制にまでいったことはご存じの通り。日本も非常に似た動きをしている」と強く警鐘を鳴らした。

 高山佳奈子京大教授も「すでに首相が好きな人を任命して検討させるシステムとして、総合科学技術・イノベーション会議がある。それとは別に日本学術会議は独立して、特別の法律に基づいてつくられている日本の科学者を代表する組織あり『代表制』『独立性』『自律性』を維持しなければ意味がない」と存在意義と独立性を確保していることの重要性を訴えた。

 また日本学術会議元会長の広渡清吾東大名誉教授も「日本学術会議は独立して政府や社会にものをいう組織が必要だからつくられた。日本の民主主義的な社会の在り方の根幹に関わる問題だ」と設置の原点に言及し、独立性確保の重要さを提起した。(編集担当:森高龍二)