原発運転期間を原則40年、最大60年とする期間の年数は変更しないものの、原発審査期間など運転停止期間中をその期間から除外し、事実上、運転期間を延ばすという政府方針に沿った判断が13日の原子力規制委員会で異例の多数決(賛成委員4人、反対委員1人)で決められた。
原子力工学、核燃料工学が専門の山中伸介委員長は記者会見で「原発の運転期間は政策判断で考えること」などと語り「規制委員会としては運転期間について意見を申し述べる立場ではない」との考えを示した。
そのうえで山中氏は「高経年化に適したルールを作るのが我々の任務。運転期間の制限は安全規制ではないと思っている。きちんと基準を持たしているかどうかを確認し、満たしていれば運転を許可するし、満たしていなければ許可しない、ということに尽きる」と強調した。
新制度では運転開始から30年以降で10年を超えない期間ごとに設備の劣化状況などを確認し、管理計画を策定して規制委員会の認可を受けることになる。基準をクリアしていなければ規制委員会は延長を認めないとして、規制委員会としての役割はこれまで通り担保され、役割を果たしていけるとの認識をうかがわせた。
今回の変更に反対した地質学が専門の石渡明氏は「科学的・技術的な新しい知見に基づくものではない。安全性を高める方向での変更とは言えない」と提起し反対した。
石渡氏は規制委員会のHPで委員ひと言欄に「地震・津波・火山活動等は地球の自然な営みの一部ですが、時として日常感覚を超えた大災害を発生させます。原子力のような大きなエネルギーを手にした人類は、正しい科学的認識をもってこれらに立ち向かう必要があります。東京電力福島第一原子力発電所の重大事故を繰り返さないために、科学者の一人として原子力規制に尽力します」と書き込んでいる。(編集担当:森高龍二)