日本酒の輸出が13年連続増。現地酒蔵も誕生する中、日本生産にこだわる酒蔵も

2023年04月09日 10:04

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和食文化の広まりとともに世界で認知され飲まれるようになったSAKEだが、最近では現地の食とあわせて様々な形で楽しまれている

世界的にアルコール離れが進む中、なぜか日本酒だけが海外で大きなブームを巻き起こしている。全国約1,700もの酒蔵が所属する日本酒造組合中央会が発表した、2022年度(1月~12月)の日本酒の輸出総額は474.92億円。13年連続で前年を上回っているのだ。また、アメリカやヨーロッパでは、現地に酒蔵も誕生しているという。

 例えば、2018年1月には最先端カルチャーの発信地ともいわれるアメリカ・ブルックリンにニューヨーク初の酒蔵「Brooklyn Kura(ブルックリン・クラ)」が誕生した。同酒蔵の創業者は日本人ではなく、ブライアン・ポーレン(Brian Polen)氏と、ブランドン・ドーン(Brandon Doughan)氏という二人のアメリカ人だ。二人は、日本の伝統的な酒蔵でつくられる「SAKE」の美味さに感動する一方、アメリカの寿司レストランなどで提供される品質の良くない「hot-sake」の味との落差に辟易し、自ら良質なSAKEの醸造所を作るに至ったのだという。2021年12月には「八海山」でおなじみの新潟県の酒蔵・八海醸造との業務提携も発表。より品質の高いSAKEづくりに勤しんでいる。

 また、純米大吟醸酒「獺祭」で昨今の高品質な吟醸酒ブームの火付け役ともいわれる山口県の旭酒造も、アメリカのハイドパーク市に酒蔵を建設。ニューヨークの水と、アメリカ産と日本産の山田錦を酒米に使用した「DASSAI BLUE」をこの春から発売する。旭酒造が近年話題だが、先だって日本でもおなじみの大関や宝酒造、八重垣、月桂冠といった名だたる酒造メーカーもアメリカに現地法人を設立し、日本食レストランなどを通じてSAKEの需要を伸ばしているほか、同国内に精米施設を整備するなど、長期的かつ広域的にアメリカのSAKE市場を支える体制を整えている。

 そんな中、現地生産する酒蔵がある一方で、灘・伏見・伊丹の清酒大手メーカー9社の海外市場の清酒販売実績の調査結果(醸造産業新聞調べ)において、輸出量21,800石(kl)、前年比112%でトップの実績を誇る、神戸市の白鶴酒造は、一貫して日本での酒造りに こだわっている。これは、同社の10代社長の持論であった「ワインの世界がそうであるように、当社の製造する日本酒は『Made in Japan』であるべき」という姿勢を現在も貫いているのだという。並みいる酒造メーカーを抑えて、輸出でダントツの1位を取れたのは、同社のこの酒づくりへの頑固なまでのこだわりが、海外の日本酒ファンにも受けている証なのかもしれない。白鶴では、この10年で約50倍に急拡大している中国市場にとくに注力しており、21年度の中国向け輸出額が前年度比65%増、22年度はさらに前年比50%増と絶好調な上、2025年度をめどに現地向け販売数量を22年度計画の2倍に増やすことも発表している。

 和食文化の広まりとともに世界で認知され飲まれるようになったSAKEだが、最近では現地の食とあわせて様々な形で楽しまれている。日本国内でも日本の食文化には欠かせないものとして再認識される事を期待したい。(編集担当:藤原伊織)