憲法記念日の3日、日本弁護士連合会の小林元治会長は「国際情勢がめまぐるしく変化している現状においても、立憲主義を堅持し、国民主権に基づく政治を実現することにより個人の人権を守る立場から、引き続き人権擁護のための活動を積極的に行ってまいります」との談話を発表した。
また改憲手続き上の問題でも「憲法改正手続法において検討や見直しが必要な課題を国会で十分に議論を重ねることが必要だ」とし「特にインターネット広告については、憲法上の表現の自由の重要性を踏まえつつも、憲法改正手続において国民の意思を適正に反映するために、インターネット広告市場の実態に即した一定の規制をすることが必要であり、その課題を残したまま憲法改正の発議を行うべきではありません」と警告している。
小林会長は防衛力強化や緊急事態条項を巡る議論に関し「不安な社会情勢の中で、政府は抑止力の強化等を掲げ、昨年12月16日、新たな国家安全保障戦略、国家防衛戦略及び防衛力整備計画を閣議決定し、相手国の領域内にあるミサイル発射手段等を攻撃するためのいわゆる『敵基地攻撃能力』や、攻撃対象を『敵基地』以外に拡大することになりかねない、いわゆる『反撃能力』の保有を進めようとしている」。
「しかし、戦力不保持を掲げる憲法9条の下、敵基地攻撃能力や反撃能力を保有すべきではない。敵基地攻撃能力・反撃能力の保有は近隣諸国に脅威と不信を呼び起こして日本が戦後築いてきた平和的外交関係を損ねかねないものであり、決して日本の安全性を高めるものとはなりません。政府は武力に依拠するのではなく、日本国憲法が掲げる恒久平和主義、国際協調主義の原理に基づき、国際平和の維持のために最大限の外交努力を尽くすべきです」と昨年12月に行った意見を改めて提示した。
また自民党などが改憲で狙っている「緊急事態条項」の創設について「緊急事態条項は極度の権力集中による政府の権力濫用の危険性が極めて高く、国民主権の原理への弊害も大きいものであるため、憲法改正ではなく、大災害が発生した場合にも選挙を実施できる制度に改めること等で対応すべきだ」と提言している。(編集担当:森高龍二)