防衛力強化の具体化へ政府与党が準備を着々進めている。28日には自公が「防衛装備移転3原則」運用指針の見直しを巡り協議、防衛省、経産省は同日「防衛装備に係る事業者の下請適正取引等の推進のためのガイドライン策定に向けた有識者検討会」の初会合を開いた。
「防衛装備移転3原則」運用指針の見直しを巡っては自公での結論は秋になる。防衛産業を支援する必要があるなどとし殺傷能力を備えた装備品輸出を認めるようにすべきとの自民党と慎重な公明党との間で結論は秋以降になることが確認された。
現行の運用指針で輸出の厳格化を図るため「救難」「輸送」「警戒」「監視」「掃海」の5類型に限定している。公明党は見直しをするにしても「地雷除去」や「教育訓練」の追加にとどめるべきとの考え。憲法9条に照らしても殺傷能力を備えた装備品輸出までを許容するのは「平和国家」の姿勢として国民の理解も得られるのか、慎重な判断が求められる。
一方、防衛省、経産省は同日「防衛装備に係る事業者の下請適正取引等の推進のためのガイドライン策定に向けた有識者検討会」の初会合を開いた。
日本の防衛生産・技術基盤強化のためには防衛産業のサプライチェーンを構成する取引事業者全体により企業価値を最大化していくことが重要などとして、防衛産業の特徴に配慮した「防衛産業の下請適正取引等の推進のためのガイドライン」(仮称)を整備するとしている。
政府は「防衛産業は防衛力そのもの」と「我が国の防衛産業における装備品等の開発・生産基盤の維持・強化がますます重要になっている」ため防衛力整備に23年度~27年度で43兆円規模の歳出を予定。防衛力強化の具体化へ準備を進める。(編集担当:森高龍二)