コロナ禍契機に『バラマキ国家』と元総理

2023年06月08日 06:07

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野田佳彦元総理は今月5日の「かわら版」で「入るを量りて、出ずるを制す(収入を計算して、それに見合った支出を心がける)が財政運営の基本。しかし、コロナ禍を契機に入るも出ずるも量らないバラマキ国家になってしまった」と財政運営の在り方に強い問題を提起し、危機感を示した

 野田佳彦元総理は今月5日の「かわら版」で「入るを量りて、出ずるを制す(収入を計算して、それに見合った支出を心がける)が財政運営の基本。しかし、コロナ禍を契機に入るも出ずるも量らないバラマキ国家になってしまった」と財政運営の在り方に強い問題を提起し、危機感を示した。

 5月末に令和臨調「論説等懇談会」でメディア各社の論説委員長クラスを対象に講話した際、その旨を語り「危機感を訴え、財政改革、社会保障改革、政治改革などの私案をお話しした」という。

 財政運営を巡っては、野田氏は1週前の「かわら版」で防衛財源について「政府は今後5年間で総額43兆円規模の防衛費を確保するために、約17.1兆円が追加で必要としている。しかし、この「防衛財源確保法案」で確保されるのは国有財産の売却益や特別会計の剰余金など1回限りしか生じない『税外収入』をかき集めた3.4兆円。防衛費増額分の約20%に過ぎない。その他の財源は法的に担保されていない上、中身がスカスカでした」と指摘。

 政府の「歳出改革」について「具体的な歳出削減の道筋・内容が全く示されなかった。『決算剰余金』の活用は極めて甘い見積もりが前提になっていた。『防衛増税』として復興特別所得税の流用を掲げているが、被災地の皆さんの心情を蹂躙するもので、論外。私は自衛隊と海上保安庁の連携強化や自衛官の処遇改善などを国会審議でとり上げてきた。防衛費増額を是とする立場。しかし、その財源確保のための枠組みはぐらぐらであり、財務大臣経験者として到底容認できない」と財源裏付けのあやふやな組み立てで容認できないと明確にしている。

 野田氏は「しっかりと安定財源に裏づけられたものに改めるべき。そうしなければ、結局は借金頼みの防衛力強化に陥ることは火を見るより明らか」と警鐘を鳴らしている。

 「財源なくして政策なしの基本に立ち返り、対策の規模と効果を精査していかねばなりません。財政の持続性の確保こそ国力の源泉」と訴えている。防衛力や異次元のこども・子育て対策はもちろん、すべての対策がそうであるべき。「バラマキ国家」では国民の間に歪みと不満、破綻を招くことになる。『財源なくして政策なし』。岸田内閣は対策の規模と効果を精査し、その結果、対策・規模の修正が必要であれば、勇気をもって見直し、その内容を国民に分かり易く説明することが必要だ。マイナポイントだけで数兆円を使ったマイナカードの強引な促進や紐づけ策もその一つだ。(編集担当:森高龍二)