中国から飛来するPM2.5予測情報、携帯・スマホ向けに無料配信

2013年03月01日 10:23

 中国で問題となっている大気汚染。その大気汚染の原因の一つとされているのが、直径が2.5μm以下であることからPM2.5と呼ばれる微小粒子状物質である。PM2.5には、ディーゼル車や工場の排ガスに含まれるすず成分をはじめ、硫黄酸化物や窒素酸化物など多様な物質が含まれており、人が肺の毛細血管に取り込むと、呼吸器や循環器系に悪影響を及ぼす可能性がある。

 中国で発生したPM2.5は、気象条件に応じて日本へ飛来。夏場や冬場は比較的少ないものの、春先は西から東へ進む移動性高気圧に運ばれてやってくるため、PM2.5の日本への飛来は3~6月が最も顕著になるとされている。

 こうした状況を受け日本気象株式会社が、PM2.5に関する日々の予測情報を、携帯、スマートフォン向けのサイトにおいて無料配信するサービスを開始した。配信されるのは、携帯電話・スマートフォン向けサイト「お天気ナビゲータ」内の特設コーナー。PM2.5の飛来予測は、日本における環境基準値に照らし合わせ「非常に多い」「多い」「やや多い」「少ない」の4段階で提供。首都圏や近畿、九州北部など全国12エリアの予測を1週間先まで提供し、今日明日の予測に関しては時間帯別にも配信する。また、アジア域でのPM2.5予測をアニメーションでも配信するとのこと。

 空気清浄機やマスクを生産・販売する企業などにとっては成長・回復の端緒となるのかもしれないが、いずれにせよ歓迎すべき事態ではない。今回発表されたようなPM2.5に関する予測情報配信サービスが必要とされること自体が異常と言うべきであろう。また大気汚染だけでなく、水質汚染も大きく報じられている。汚染された川の水や地下水はいずれ海へと流れ込み、海流にのって日本にも届くであろう。そして、いずれの公害に関しても、有効な対策が見受けられる状況にはない。中国の安価な労働力や高い経済成長、内需の大きさなどに目がくらんだ代償としては、あまりにも大きすぎる代償と言えるであろう。(編集担当:井畑学)