「新しい資本主義」へ大手上場企業と金融所得優遇で潤う資産家や経団連と二人三脚の岸田政権は経団連が狙う家庭に眠る個人資産の株式市場、投資信託への誘導に総理自ら呼びかけを始めた。国民の「所得倍増」から乖離し「資産所得倍増」にひた走る岸田政権。金融所得課税見直しははるか彼方へ遠のくばかり。
岸田文雄総理は株式市場や投資信託への投資による元本割れリスクに触れることなく「資産所得倍増元年」などと自ら率先し「家計金融資産の半分以上を占める現金・預金が投資に向かい、企業価値向上の恩恵が家計に還元され、家計の資産形成と更なる投資や消費につながる、という好循環を実現していきます」などと、まるで「投資イコール儲かる」という、どこかで聞いたような?説明を、30日から首相官邸HPで「岸田文雄です」などと書き込んで勧誘し始めた。
岸田総理は「来年1月から非課税限度額を大幅に引き上げるが、今年のうちにNISAで購入した商品は別枠で非課税とし、さらに、現在お持ちのNISA口座には新しいNISA口座が自動で開かれます」と強力に勧誘。
また個人型確定拠出年金(iDeCo=自身で拠出した掛金を自身で運用し、資産形成する年金制度)についても加入可能年齢を70歳まで引き上げるとし「政府として新しいNISAやiDeCoに関する分かりやすい情報発信とともに金融経済教育の充実、消費者が信頼できるアドバイスの提供の推進といった総合的な取組みを進めていく」と強調した。
異次元の少子化対策に必要な財源や防衛装備品の整備に費用な財源確保。実は金融所得の税率を25%にするだけで8兆円もの額が捻出できると税理士の浦野広明立正大学法制研究所特別研究員が7月2日号のしんぶん赤旗日曜版で紹介している。金融所得課税の見直しはそもそも岸田総理が自民党総裁選にあげていた公約の一つではなかったのか。総理になったとたん向き合う相手が変わったようだ。
ちなみに金融所得税率を25%にした場合、増収となる「8兆円」の内訳として、浦野氏は「利子・配当」で7兆537億円。投資信託で3624億円。特定配当で2793億円。特定株譲渡で5360億円が捻出されると説明している。合計額は8兆2316億円にもなる。岸田政権ではできない金融所得課税の見直しなのだろう。(編集担当:森高龍二)