【コラム】中道保守~革新層代表政党へ立憲は本腰の共闘を

2023年07月16日 10:41

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岸田文雄総理は9月に内閣改造を行うものとみられる。改造が済めば総理・総裁としての地盤強化を図るため「衆院解散・総選挙」のタイミングを計る

 岸田文雄総理は9月に内閣改造を行うものとみられる。改造が済めば総理・総裁としての地盤強化を図るため「衆院解散・総選挙」のタイミングを計る。選挙は年内の可能性がある。

 防衛費GDP比2%達成を図る異次元の「防衛力増強政策」、子ども中心社会構築とした異次元の「子ども・子育て・少子化対策」。財源は年末に先送り。加えて東京電力福島第一原発事故を彼方に置いた「原発推進政策」、経団連が求める「マイナンバーカード」普及と銀行口座・運転免許証など諸々の紐づけやカード推進のための紙の健康保険証の廃止などなど。

 「新しい資本主義」という名の「新自由主義」の推進に拍車をかける岸田内閣の政策をどう判断するか。昨年8月の内閣改造からこの1年で進めた政策の是非を国民自らが判断し、意思表示する唯一の権利行使(投票)機会として総選挙は「重要な意味を持つ」。

 これまでの構図から、保守・中道層は自民・公明・維新・国民・参政・女性を選択。革新・中道支持層は立憲・共産・社民・れいわを選択している。

 こうした構図を踏まえると、国会のチェック機能や暴走にブレーキをかける勢力バランスの確保には小選挙区で野党共闘による議席獲得のほか手立てはない。

 野党の核となる「立憲」は「維新・国民・参政・女性」と共闘できないことを感情論でなく客観的に冷静に受け止め、連合の芳野友子会長に振り回されることなく「立憲・共産・社民・れいわ」での共闘を真剣に考えるべき。

 2021年10月31日の総選挙を検証すれば答えは明らかだ。共産党との共闘に危機感を持った保守派は「立憲共産党」と攻撃したが、今は「自民統一党」と自民を揶揄する声もある。立憲は共闘にこそ背水の陣で取組むべきだ。

 21年の総選挙では214の小選挙区で与党VS野党、1対1の構図が出来た。その結果、野党は62選挙区で競り勝ち、甘利明元経済再生担当大臣、塩谷立元文科大臣、桜田義孝元五輪担当大臣らを小選挙区で落選(いずれも比例区復活で議席獲得組み)させた。石原伸晃元幹事長は議席を失くした。1000票差内の接戦で野党が惜敗した選挙区は4選挙区、5000票差以内は16選挙区、1万票差は32選挙区にもなる。

 各政党には目指す社会がそれぞれにある。共産主義であったり、社会民主主義であったり、しかし、野党共闘したから共産主義を目指すわけでも、社会主義を目指すわけでもない。共通項の目標実現のため手をつなぐ共闘であることを理解しなければならない。

 筆者は21年の衆院選挙並みに中道~革新支持層が選択支持できる候補者を小選挙区に擁立頂くことが日本の健全な民主主義醸成づくりに必要だと考えている。

 立憲の岡田克也幹事長が今月4日の記者会見で「野党議席を最大化することは非常に重要だ。調整の取組みを徹底的に追求したい」と語った。「泉健太党代表から野党間の候補者調整を進めるよう指示を受けた」としたことには健全な民主主義の土壌つくりの観点から期待している。加えて、小沢一郎衆院議員が神奈川県横浜市での講演で「政権交代実現こそ、野党第1党にとって最大目標でなければならない」とアピールしたことは、泉代表はじめ執行部、党員全員が心して受け止めるべきことだろう。政治を変えるには政権交代しか道はないのだから。

 立憲は党の新ポスターで国民が最も関心が高いだろう3点を簡潔に表現した。1点は「今の健康保険証を守ります」(政府がマイナンバーカードの強引な普及を図るために決めたとしか思えない来年秋の紙の保険証廃止を阻止することを公約にあげる)。

 2点目は5年間で43兆円の防衛費と少子化対策費用。いずれも財源について、政府は12月に先送り。これに党として「増税隠しを許さない」と財源問題に切り込む姿勢を強調した。3点目は「女性の声が政治を変える」と各議会での男女同数を目指すことなどを簡潔に示した。

 立憲・共産・社民・れいわという括りの中では共通項にあげることが可能な事項ではないのか。必要なことは、こうした具体目標を実効性のある状況にし、実現することだ。

 共産党の志位和夫委員長は衆院選での選挙協力について、共通政策・選挙協力・政権協力までをあげるが、少なくとも「共通政策」の構築・合意とこれの実現のための「選挙協力」(小選挙区における候補者調整での一本化)は秋の選挙を見据え、立憲が各党に熱意と誠意をもって積極的に働きかけを行うことだ。

 小選挙区の各地域が「自・公」「維新・国民」「立憲・共産・社民・れいわ」の三つ巴で展開する構図を実現し、国民に審判を仰いでもらえるようにしていただきたい。そうした選挙を願う。(編集担当:森高龍二)