NHKコロナ巡る報道で社会問題の認識欠けてた

2023年07月23日 10:49

 NHKは21日、今年5月15日のニュース番組「ニュースウオッチ9」で新型コロナの5類への移行から1週間をテーマにした報道の際、コロナワクチン接種後の副反応で家族を亡くしたとする3人の遺族のコメントを、コロナで亡くなった遺族のコメントと視聴者が誤認する伝え方をしたとして、いずれも当時の肩書きで報道局映像センター職員とチーフ・リードの2人を14日間の出勤停止処分にしたと発表した。

 またニュースウオッチ編集責任者を減給、同編集長をけん責処分。当時の映像センター長を訓告、試写に参加した管理職3人を厳重注意とした。問題発生の背景に「社会問題に対する認識が欠けていた」などと報道に携わる者にとって資質が問われる指摘をしている。

 この問題報道ではワクチンに関して全く触れず、ワクチン接種で家族を亡くし、取材に応じた遺族の思いは全く汲まれていなかった。

 NHKは「取材させて頂いたご遺族、視聴者のみなさまに改めてお詫びいたします」と陳謝するとともに「チェック体制の強化、ジャーナリスト教育の徹底など再発防止に向けて全局的な取組みを進め、信頼回復に努めて参ります」とのコメントを行った。

 また今回の問題報道についてNHKとして原因や背景、関係者のヒアリング、資料確認などを行ったとして、その結果も同時発表した。

 結論として「取材・制作にあたり職員と上司が、新型コロナなどの社会問題に対する認識が欠けていた」としたほか、「担当者間の情報共有、相談が不十分で、提案・取材・制作の各段階のチェックがいずれも不足していたことが分かった」とした。

 加えて「遺族に対し、取材の趣旨を明確に伝えておらず、取材先に対する真摯な姿勢が欠けていた。視聴者に向き合う真摯な姿勢を欠けており、視聴者の信頼を損ねたことを重く受け止めている」などとしている。そのうえで「ジャーナリスト教育や意識の浸透をさせるための勉強会を強化する」としている。

 NHK放送ガイドラインでは「編集にあたっては全体の趣旨を的確に伝えるように努める。事実を歪めたり、誤解を与えたりするようなことはあってはならない」などと定めている。(編集担当:森高龍二)