関西電力は27日までに福井県高浜町にある高浜原発1号機(加圧水型軽水炉 定格電気出力82万6千キロワット、定格熱出力244万キロワット)が28日に「原子炉起動」し、29日に「臨界に達する」と発表した。
関電は「臨界に達したあとは、諸試験を実施、8月2日に定期検査最終段階の調整運転を開始する予定で、8月28日には総合負荷性能検査を実施し、本格運転を再開する予定」としている。そのうえで、来年4月22日から「次回の定期検査が始まる予定」という。
同原発1号機の再稼働は12年7か月ぶり。1号機は1974年11月14日に運転開始なり、2011年1月10日から定期点検に入っていた。運転開始以来約50年になる原発。新規制基準下での運転開始40年超の原発の再稼働は関電美浜3号機に次いで国内2基目となる。
関電は東電福島第一原発事故を踏まえた安全性向上対策として(1)地震対策では基準地震動の見直し(550→700ガル)に伴い、1次系冷却材系統等の配管や燃料取替用水タンク等の設備について耐震補強した。
(2)津波対策では敷地内への浸水を防止するため、防潮堤や潮位計等を設置した。警報が発表されない可能性のある津波発生に備え、潮位計等を追加設置した。
(3)自然現象等への対策として竜巻による飛来物の衝突を防止するため、安全上重要な屋外設備である海水ポンプエリア等に鋼板や鋼製の防護ネットを設置するなどした。
(4)火災防護対策として地震等により既存の消火水系統が使用できない場合を想定し、消火水タンク等を設置した。
(5)溢水対策として地震等により機器が破損し、タンクや配管等から水が漏えいした場合を想定して、安全上重要な設備に影響がないよう、溢水の伝播経路に止水対策等をした、としている。
また重大事故対策として(1)外部電源が喪失して非常用ディーゼル発電機が起動しない場合の代替電源として空冷式非常用発電装置を設置、中央制御室から遠隔起動できるよう設備を改造した。
(2)空冷式非常用発電装置からの電源供給等が期待できない場合を想定して、電源車を配備、原子炉補助建屋側面に接続口を設置し、電源車からの電力ケーブルを接続することで直流主分電盤や計器用電源等への電源供給を可能にした。
(3)既存の所内電気設備が使用できない場合を想定して、空冷式非常用発電装置から恒設代替低圧注水ポンプ等の重要機器に直接給電を可能にするため、代替所内電気設備(高圧分岐盤、分電盤、補機切替盤等)を設置した。このほか、冷却機能の確保や水源確保を図ったと説明している。(編集担当:森高龍二)