日大 部活動停止解除、関東学連試合参加認めず

2023年08月13日 10:29

 日本大学のアメリカンフットボール部員が覚せい剤取締法、大麻取締法違反容疑で5日、逮捕された事件で、大学は部を無期限活動停止処分にしていたが、わずか5日後の10日「部員1名による薬物単純所持という個人犯罪で、部全体に連帯責任を負わせることは学生の成長を第一に願う教育機関として最善の措置ではないと判断した」などとして、部の活動停止処分を解除、逮捕された部員のみを無期限活動停止処分とするなどと発表した。

 加えて、今季の関東大学リーグ戦へ参加する意向を伝えた。これに対して関東学生連盟は10日の理事会で日大側に4つの「宿題」を示し「当面の間の出場資格停止」と判断し、試合への出場を認めなかった。「今後、規律委員会が調査を進め、最終的に理事会で処分が追加される可能性がある」ともしている。

 ネット上では学連の判断を支持・評価する声が大多数。一方で、日大の対応を非難する声が相次いでいる。

 日大は今回の事件が寮内で起こっているにも関わらず「部員1名による薬物単純所持という個人犯罪」と断定して部活動を認め、試合参加の意向を示したことから、今後、新たに薬物での逮捕者が出れば、大学経営陣の責任問題に加えて、アメリカンフットボール部「廃部」にも事案が発展していくことも予想される。また逮捕された学生が常習していたとすれば部活動での無期限活動停止処分で済むのか、停学処分や退学処分も含め、大学としての毅然とした対応が求められることになりそう。

 学連は今回の判断について(1)日大アメフト部側から、逮捕された部員以外の部関係者全員が違法薬物に潔白であると保証できない旨が示されたこと(2)逮捕された部員以外の部の関係者に違法薬物を使用した者が存在している疑いが払拭できないこと(3)再発防止策の提示ならびにその実施がなされていないこと(4)部関係者(指導者、学生を含む)の責任の所在が明らかでないことをあげた。

 日大は(1)~(4)について、大学として明確に示していくことが求められている。ネット上では「リーグ戦参加のお願いをすること自体、非常識極まりない。学連が提示したことは、世間一般では当たり前のこと。大学も大学なら、保護者も保護者で。『甘い』処分は学生の将来にとってよくない結果を及ぼすだろう」との意見。

 海外生活が長かったという投稿者からは「要は、寮で生活を共にしている限り、必ずバレます。寮生は知らないはずがないと思います。しかもウワサは絶えなかったとの事なんだろ?連帯責任どころか、例え、ひとりの逮捕者だけとしても、他の寮生は犯罪を知っていて、隠蔽した明確な責任があるんですよ」との指摘もある。

 このほか「最高監督者である大学当局が、逮捕部員以外の身の潔白が証明出来ないままに『個人犯罪』と結論付け、再発防止策も示さないままに活動を再開させる。『検証もせず対策も示さずともアメフトはできる』という日本大学の意思表示は『アメフト競技界への挑戦』と理解できる」との意見。

 「関東学連の判断は極めて真っ当。酒井学長や澤田副学長らとともに、4点の宿題をすべて解決し、その回答を含め、事実をウソ偽りなく、正直に公表することが必要ではないか?」

 「大学側で勝手に個人犯罪だと断定して無期限活動停止も5日で解いてしまう大学側の対応はアメフト部の問題と言うより日大経営陣の問題の方が大きそう」「関東学連のほうが『世間の常識』に近い」。

 「事は薬物、しかも卒業生も含め他の部員がシロだとは言えない今、いくら広告塔だからといって、拙速過ぎる処分解除には疑問を禁じ得ない。理事長の改革って大学の保身にすぎなかった。ガッカリです。もし、私の周りに日大を志望するなら止める」との投稿も。日大は寮内で起きた事件が刑事事件で、逮捕者が出たことの重さを踏まえ、慎重に、対応するべきだろう。逮捕された学生は部の先輩、後輩のためにも、自らのためにも、薬物について知り得る範囲を全て供述することを願う。(編集担当:森高龍二)