アメリカンフットボール部員の薬物事犯で法人としての対応が問われた日本大学で、ラグビー部でも部員の大麻使用の疑いがでていることが3人の弁護士で構成する「ラグビー部組織体質に関する外部調査委員会」の調査報告で明るみになった。大学が12日公表した。
大学はラグビー部員の父親から息子がガスバーナーを持った上級生に追いかけられた、ユニフォームがなくなりメルカリで転売されているなどの相談を受け、6月に外部調査委員会を設置、こうした事実関係や部内に大麻使用者がいないかなどを調べていた。
このうち大麻に関して昨年11月に競技スポーツ部がラグビー部員に行ったアンケートで「大麻をすすめられた」実名を挙げて「大麻を吸っている」などの回答があった。また現状についても「大麻を吸っている者がいるという噂を聞いたという者が5名」いて、「現役学生の名前が複数名あがった」としている。
報告書で「当委員会は噂というより、寮生活での懸念として大麻問題を捉えているものと認識した」としている。
そのうえで委員会は(1)監督・コーチ陣の選任契約は大学が当事者となって内容を確認し、捺印手続きすること(2)監督、コーチについて寮への常駐可否も内規の選任条件に追記し、寮常駐をヘッドコーチの選任条件にすること(3)監督・コーチ陣の指導力向上を図るため、薬物・体罰は絶対に許さない、トレーニングの強要や坊主の強要もしてはならないなど指導方法を定めて監督・コーチ陣の一定レベルを保つことなどを提言。
特に大麻に関しては「警察官による講習会にとどまらず、薬物依存からの回復を目指す民間団体の人に体験に基づいた具体的弊害に関する講義や薬物依存に詳しい医師から医学的見地からの弊害や実態を話してもらうなどを考えること」「寮に薬物啓発ポスターを掲示するなど違法薬物所持や使用を見た場合、監督・コーチ・大学の通報窓口へ通報するよう啓発し、部や大学が違法薬物を許さない態度をとることで学生に協力を求めることが大切」としている。
また通報があった場合「誰が事情を聴取するのか、保護者への連絡をどのタイミングで行うかなど、フローを明確に定めておくこと。大学として統一した緊急対応策を決めておくこと、競技部や寮においての対応マニュアルを作成し、各競技部や各寮に徹底しておくこと」などを提案している。
また委員会はアメリカンフットボール部事件を踏まえて「問題が生じたとき、個人の問題に矮小化して問題が解決したとする傾向がないか危惧する」とし「今後は問題発生の本質的な原因分析を粘り強く行う姿勢が求められる」と結んでいる。
大学側は「指摘事項を真摯に受け止め、同部の組織体質改善に努めてまいります。薬物問題や体罰問題について講師選定も含め研修の在り方を工夫していきたい」としている。
またヘッドコーチを寮の常駐にすることについては「人材確保の観点で現実的でないため、単独寮の管理を外部委託することを検討中。早期に各学生寮に管理人を配置し、生活環境の改善、管理強化を図る。夜間の見守りは警備会社に依頼することで対応するため、警備会社などと打ち合わせを進めている」としている。(編集担当:森高龍二)