防衛力抜本的強化「予算含め順調に進捗」防衛相

2024年02月27日 08:36

 木原稔防衛大臣は防衛力の抜本的強化について直近の記者会見で「順調に進捗していると考えている」と述べた。

 木原大臣は「ロシアによるウクライナ侵略では戦闘機や艦艇、戦車などの従来型の兵器のみならず、大規模なミサイル攻撃、無人機等による非対称的な攻撃であったり、情報戦などを組み合わせた新しい戦い方が見られる」と指摘。

 また「弾薬の備蓄など継戦能力の重要性も指摘されている」とし「我が国がこのような安全保障環境に置かれる中で、防衛省・自衛隊としては防衛力整備計画に基づいて、ウクライナ侵略の状況も踏まえつつ、スタンド・オフ防衛能力、統合防空ミサイル防衛能力、無人アセット防衛能力等の防衛力の中核となる分野の抜本的強化、可動数の向上、弾薬の確保、防衛施設の強靱化等のために、しっかりと予算を計上しており、順調に進捗している」とした。

 木原大臣は世界の安全保障環境の変化について「国際社会が戦後最大の試練の時を迎えている、そういう認識を持っている。既存の秩序というものが深刻な挑戦を受け、新たな危機の時代に突入しているのではないか」と述べた。

 そのうえで「我が国としても戦後最も厳しく複雑な安全保障環境というものに直面している。中国は軍事力を広範かつ急速に増強させるとともに東シナ海・南シナ海において力による一方的な現状変更の試みを継続、強化している。北朝鮮はミサイル開発を急速に進展させている」と語った。

 ただ、防衛力の抜本的強化の5年間で43兆円の予算組みについて「物価高や円安」を理由に枠組み拡大を正当化するような発言が「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」座長(榊原定征元経団連会長)から飛び出したり、有識者会議メンバーに防衛装備で利害関係者ともいえる三菱重工会長が入っているなど防衛費拡大が既定路線になるとの懸念も一部に出ている。

 日本共産党の田村智子委員長は21日の記者会見で「三菱重工は敵基地攻撃能力のための長射程ミサイルを受注しており、これによって軍事部門で2023年と比べ2倍の1兆円の売り上げになると見込んでいる企業。自ら受注する企業が入って軍事費を増やす議論を行うなど、あり得ない」と問題視した。(編集担当:森高龍二)