防衛力の抜本的強化を理由に5年間で43兆円もの規模の防衛費を充てる中、海上自衛隊隊員による潜水手当の不正受給や自衛隊施設での不正飲食のほか、特定機密情報の不適切運用、さらにパワハラ事案など、自衛隊規律とモラルの問題が一挙に明るみになり、12日、防衛省は統合幕僚長、防衛事務次官、海上幕僚長、陸上幕僚長、航空幕僚長、情報本部長など幹部らを含む218人の処分を発表した。
このうち潜水していないのに潜水手当を不正に受給していた隊員は74人。うち11人は免職処分になった。受給額で最も多い隊員は約200万円になっていた。
木原稔防衛大臣は今回の問題を受け「防衛省における特定秘密に関する事案、海上自衛隊における不正な手当受給や不正喫食といった服務事案、内部部局幹部職員によるパワー・ハラスメント事案について公表し関係者を処分した」と発表。
加えて「現在、潜水艦修理契約に関し、隊員の規律違反や契約の適正性に対する疑いが生じていることから、特別防衛監察を実施している。判明した事実関係に基づき厳正に対処する」とビデオメッセージで対応姿勢を示した。
ビデオメッセージでは「信なくば立たずという言葉がある。防衛省・自衛隊の活動は国民の信頼あってのもの。多くの隊員や先輩方によるこれまでの真摯な仕事振りを通じ、防衛省・自衛隊の国民からの信頼は積み上がってきた」とし「一部隊員による一連の事案によって信頼を裏切るものとなってしまった。先頭に立って信頼回復に取り組んでいく覚悟であり、皆さんも改めて気を引き締め、職務に当たっていきましょう」と防衛省職員・自衛隊員らに呼びかけた。(編集担当:森高龍二)