トランプ前米大統領が米ペンシルベニア州で演説中に銃撃され、右耳を負傷、会場に死傷者が出た事件を受け、日本共産党の田村智子委員長はXで「政治活動が暴力に晒されたり、脅されることがあってはならない。暴力の一掃を強く求める」と発信した。
田村氏は「政治の対決は時に怒りを持った批判であっても、決して憎悪ではない。異なる意見の存在を認め合ったうえで、衆目の前で冷静に、正々堂々と論を闘わせる、それが当たり前の社会にしなければ」と訴えた。
「暴力一掃」への田村氏の思いは伝わるものの、具体的には警察による対応しかなく、選挙・政治活動(演説)における警察の警備で介入が入りすぎると北海道警のような「表現の自由」を侵害する行為につながりかねず、「民主主義の土壌」を絶えず構築し続けるほかない。
国内での演説中の暴力事件では岸田文雄総理が昨年4月、衆参両院補欠選挙の演説直前に筒状の爆発物用のものが投げつけられた。男は威力業務妨害で現行犯逮捕。今年4月の衆院東京15区補欠選挙でも乙武洋匡候補の演説会で男が陣営関係者を突き飛ばす事案や今月実施された都知事選挙でも小池百合子候補の演説中に選挙スタッフから受け取った選挙ビラをスタッフに投げつける事案などが発生している。
一昨年5月には立憲民主党の福山哲郎参院議員演説中に男が秘書が持つ看板を複数回蹴り、マスクを引っ張った。その後、福山氏を殴った。男は罰金15万円の略式命令を受けた。同年7月には安倍晋三総理(当時)が選挙演説中に手製銃で撃たれ亡くなった。事件の被告は「統一教会に恨みがあり、安倍氏が教団との関係が深かったので狙った」と供述している。(編集担当:森高龍二)