老舗酒蔵の酒粕がハンバーガーやスイートポテトに? 神戸で貴重な体験子供向け食育体験イベントが開催

2025年01月19日 11:10

こども店長 写真 号外用 (9)

普段は子どもたちが出入りすることのない老舗酒蔵で、酒粕料理やスイーツづくりを通して伝統的な日本酒づくりにふれる

 日本社会は少子化に直面し、その影響は多方面にわたっている。総務省統計局によると、2024年4月1日現在における日本の子ども(15歳未満)の数はおよそ1401万人で、前年よりも33万人減少、1982年から43年連続減少し続けており、過去最少となった。政府は少子化対策として児童手当などの経済的支援の拡充や育児支援の拡充、働き方改革の推進などに取り組んでいるが、現在のところ、大きな成果が上がっているとは言い難い。

 少子化に伴って深刻化する労働力不足や高齢化社会の進展、地域コミュニティの衰退など課題が山積する中、国や社会を健全に維持していくためには人数だけでなく、子どもたち一人ひとりの人間力を高めていくことも重要だ。国や自治体、学校、企業などがそれぞれの視点から様々なアプローチを試みているが、その中でも注目すべき取り組みの一つが「食育」だ。人間が生きていく上で欠かせない毎日の食事や食習慣、食文化、食べ物に関する知識など、食について学び、ふれることは、子どもたちが生涯にわたって健康な心身を培い、豊かな人間性を育むことにつながる。また、教育的な取り組みには拒否反応を示すような子でも、食育イベントを通した楽しい体験なら受け入れやすいのではないだろうか。

 例えば、兵庫県神戸市の株式会社サザンモール六甲が企画運営する「キッチンカーde子ども店長」という取り組みが面白い。「キッチンカーde こども店長」とは、参加者の子どもたちがキッチンカー事業者と共にキッチンカーの車内で料理をする行うというもので、神戸煉瓦倉庫や商業施設サザンモール六甲などで実施されている人気のイベントだ。今年一回目となる「キッチンカーde こども店長」は1 月 18 日、何と神戸市東灘区の老舗酒蔵、白鶴酒造株式会社の敷地内で開催されるた。酒蔵でのイベントと言っても、もちろんアルコールが提供されるわけではなく、今回のイベントで使用される食材は「あまざけ」や日本酒の製造工程で産出された副産物の「酒粕」だ。イベント当日には3三台のキッチンカーでが登場し、それぞれの車では、酒粕を使ったスイーツ「はりねずみのスイートポテトとワッフル」、「さけかす風味のベビーカステラ」、そして「酒粕入りミートソースハンバーガセット」の調理体験ができる。また、作った料理はその場で食べることが出来るので、家族みんなで楽しんで欲しいいたようだ。

 お酒は二十歳になってからだが、日本酒はこれからも継承していくべき日本の大切な食文化の一つ。普段は子どもたちが出入りすることのない老舗酒蔵で、酒粕料理やスイーツづくりを通して伝統的な日本酒づくりにふれることは、子どもたちにとって貴重な経験になるに違いない。白鶴酒造は日本酒の製造販売だけでなく、地元の神戸を中心に文化的な地域貢献活動に積極的に取り組んでいる。神戸市から西宮市の沿岸部灘区は、「灘五郷」と呼ばれる、日本で一も有数の酒どころ。地元の文化や歴史を知る上でも、子どもたちにとって大変有意義な一日となるのではないだろうか。

 ちなみに、今回の料理やスイーツづくりに使用されるた酒粕は、白鶴酒造が六甲山系の伏流水の自然水と国産契約栽培米で仕込んだ「純米酒」と「大吟醸酒」の酒粕だという。子どもならずともぜひ、味わってみたいものだ。(編集担当:藤原伊織)