日産の内田誠社長が退任する見通しとなった、と報道各社が伝えた。2月13日に発表したホンダとの経営統合破談を理由に、日産取締役会では内田社長の経営責任を問う声が強まっている。
日産は2月27日、2025年1月のグローバル生産・販売実績(速報)を発表。それによると前年同期比で生産が11.3%減、販売が5.9%減と大幅に落ち込んだ。2025年1月までで世界生産は前年同月比で8カ月連続マイナス、世界販売は10カ月連続マイナスと苦戦が続きだ。
日本からの輸出は北米向けが同29.0%減の1万1396台、欧州向けが同74.6%減の1268台だった。日産は2月13日、2025年3月期(連結)の2024年度通期業績見通しを下方修正しており、800億円の最終赤字を見込む。
もちろん内田社長の退任は2024年度通期決算で赤字転落が確実になった経営責任を取らされる恰好が表向きの理由となる。が、報道によると当面後任は置かず、現CFO(最高財務責任者)であるジェレミー・パパン氏が暫定CEOに就く体制で調整が進められているようだ。
さらに、ホンダとの経営統合交渉を支援してきたメインバンクのみずほ銀行は、日産が組む相手はホンダしかないと考えており、再交渉すべきだとの考えのようで、内田氏が社長退任後、暫定CEOがホンダに対して再交渉を検討すべきだとする模様だ。日産社内でも会社の生き残りを優先すべきで、共同持ち株会社や子会社といった形態にこだわるべきではないとの声も少なくない。
再交渉に応じる条件として、ホンダは内田氏の退任を掲げている。また、再交渉の過程で、暫定CEOに代わる新CEOの選定をホンダ側が求めるだろう。交渉の期間中にその人選を急ぐ計画のようだ。(編集担当:吉田恒)