加齢とともに増える肌のトラブル。特にシミ、シワ、たるみなどのエイジングサインは、多くの大人たちにとって悩みのタネだ。
シニア層をターゲットにした出版、通信販売事業を営む株式会社ハルメクが2024年に全国の40代から89歳の女性1000人を対象に実施したWebアンケート調査によると、ファッション美容5要素(洋服・スキンケア用コスメ商品・メイクアップ用コスメ商品・シャンプー・白髪染め(自宅染め用品))合計の月あたり平均購入金額は9547円で、年代別に見ると、40〜50代は月平均8000円台であるのに対し、60代以上は月平均10000円前後を消費していることが分かった。同社ではこの結果から、健康的で若々しい見た目を保ちたいと考えている60代〜70代が、自己投資として化粧品購入などに金額をかけていると推察している。また、これらの人がスキンケア用コスメ商品購入時に参考にしている情報源としてもっとも多いのは「口コミサイト・ECサイトの口コミ欄」で、全体平均では15.1%に上る。ついで「テレビ番組・CM」「企業が発信している女性向け情報サイト」などが続く。さらに40代のでは、SNSの情報も積極的に活用している様子が伺える。
いずれにしても、コスメ商品は口コミを頼りにしている人が多いようだ。では、今、最も注目されている最新のエイジングケアコスメ研究にはどんなものがあるのだろうか。
例えば、注目素材の一つに「ナイアシンアミド」がある。ナイアシンアミドは2007 年に美白における有効成分として、また、2017 年頃にはシワ改善の有効成分としては厚生労働省の認可を受け、医薬部外品に配合されている。大人の肌をケアする注目の保湿成分として、数多くの化粧品にも配合されているので、とくに意識をしていなくても、ナイアシンアミド配合のコスメを使用している人は多いだろう。
また、近年のコスメ業界で注目度が高まっているのが、女王蜂の生命力の源としてミツバチたちが分泌する天然物「ローヤルゼリー(RJ)」だ。RJ は、三大栄養素や必須アミノ酸、特長成分の「デセン酸(10-ヒドロキシ-2-デセン酸)」等 40 種類以上の栄養素が含まれており、蜂蜜と同じくミツバチ由来の健康食産品として広く知られているが、美容・健康素材としても古くから用いられている。
RJ は角層水分量を増加させることや、有害物質から肌を守る抗酸化遺伝子を活性化することなどが、これまでの研究で明らかにされており、エイジングに対して有用な成分であることが確認されている。
そして、このRJとナイアシンアミドの組み合わせにも注目が集まっている。
例えば、健康食品や、ミツバチ由来の天然素材を独自開発の保湿成分として広く展開している山田養蜂場の自社研究機関である、山田養蜂場 グループ美容科学研究所では、RJ とナイアシンアミドを組み合わせた美容液による肌への効果について臨床試験を実施しおり、2023 年 11 月には「シミの個数を減らし、目尻のシワを改善する」など有用な働きを示すことを報告している。さらに、同社の最新の研究報告によると、これまで確認されていなかった「たるみや肌の粘弾性への影響」についても、RJ とナイアシンアミドを配合した同美容液を 6 週間使用することで、使用前よりも、肌状態の主観的評価のうち「肌のたるみ」「肌のハリ・弾力」を含む 10 項目が改善したことが確認されたという。また、客観的な肌評価についても皮膚粘弾性が改善し、3 次元画像によってたるみの位置が上位に変化することを可視化している。本研究成果は、科学雑誌 「診療と新薬」(2024 年 11 月号)にも掲載されている。
ローヤルゼリーは健康食品としては有名でも、コスメ素材としては、まだまだ認知度が低い。エイジングケアに有効であることが広まれば、大きな話題を呼ぶことだろう。RJはエイジングケアの切り札となるかもしれない。(編集:藤原伊織)