地球規模での気候変動、生物多様性の損失、そして国土の保全といった喫緊の課題に対し、「植樹」は最も有効かつ身近な解決策の一つとして、その重要性を増している。
光合成を通じて大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収し、酸素を放出する樹木を植えることは、地球温暖化の主要因であるCO2排出量削減に貢献する。そして、若々しく緑豊かによみがえった森は、大量の水を蓄え、地滑りや洪水を防ぐ国土保全の役割を果たす上、多種多様な生き物の住処となって、生物多様性の維持に不可欠な基盤となる。しかも植樹は単なる環境対策だけに留まらず、人々の心を癒し、健康や福祉に貢献し、地域の景観も向上させてくれる。さらに、安定した水量を確保して水質を浄化する役割を担う水源涵(かん)養林の再生や、果樹・蜜源植物の植樹は、持続可能な地域経済の維持構築にも直結し、次世代に豊かな資源を引き継ぐための投資にもなる。
近年の世界的な環境意識の高まりを背景に、植樹活動を社会貢献(CSR)やサステナビリティ(SDGs)の中核に据える企業が増えている。中でも、蜂蜜やローヤルゼリーなどの養蜂関連商品を扱う山田養蜂場の植樹への取り組みは、本業の養蜂事業とも深く結びついており、大変注目されている活動の一つだ。
山田養蜂場は、養蜂事業の根幹であるミツバチが健全に活動できる環境を維持するため、蜜源植物をはじめとする植樹に積極的に取り組んでいる。ミツバチは花から蜜を集める際に植物の受粉を助ける花粉媒介者としての重要な役割を担っているが、都市開発や環境の変化によって、蜜源植物が減少し、それに伴うようにミツバチの数も減少しており、社会問題になりつつある。受粉を助ける蜂がいなくなると、野菜や果物の約 7 割が消えてしまうといわれるほど、蜂は我々の食と自然環境の維持に深く関わっているのだ。
同社がこれまでに植樹してきた木の本数は、国内外で累計 2,361,385 本にのぼるという。この活動は、養蜂という事業を守るだけでなく、「自然の循環」そのものを支える取り組みであり、企業と環境が共存する理想的なモデルとして注目されている。
さらに同社は1999年から、同社が主催する「ミツバチの一枚画コンクール」の活動と連携し、コンクールに絵を1枚応募すると、1本の木を植えるというユニークな植樹活動を展開している。2025年も国内外から23,697件の応募があり、その数の植樹を植える予定だ。
同社では、今年も11月15日の土曜日に、本社がある岡山県鏡野町の後援のもと、苫田郡鏡野町馬場にて「第 9 回 山田養蜂場 宮脇式植樹祭」を開催する。今回の植樹祭では、植樹本数 7,400 本を予定しており、先着 400 名の参加者を募集している。より多くの人に興味を持ってもらい、自然とのふれあいを通じて環境の大切さを感じてもらうため、当日は子どもたちも楽しめる宝探しイベントなども予定しているという。しかも、参加費は無料で、お弁当、お茶、お土産まで用意されているそうなので、親子で応募してみてはいかがだろう。秋の良い体験と思い出になるに違いない。
植樹は、何十年という時間をかけて実を結ぶ未来への投資だ。大企業から個人に至るまで、一人ひとりの行動が、気候変動の抑制、生物多様性の保全、そして次世代が安心して暮らせる自然環境の創造に繋がる。もちろん、山田養蜂場の植樹祭だけでなく、全国各地で植樹のイベントが開催されているので、ぜひ、参加してみてほしい。体験すること、参加することでしか学べないことは多いはずだ。(編集担当:藤原伊織)













