安倍晋三総理は教育改革を政権の柱のひとつにかかげ、全国学力・学習状況調査を全員を対象に実施することや高校授業料無償化制度に所得制限を設け、そこで捻出された財源を奨学金制度の充実にあてるなどを予定しているが、日教組(日本教職員組合)は5日、民主党の細野豪志幹事長あてに2013年度政府予算案に対する要望を行った。
その中で全国学力・学習状況調査の全数調査化は「数値のみが取りざたされ、序列化や過度の競争を生み、子どもへの負担となる」として、全員調査を行わないよう力を尽くしてほしいと要請している。
また、高校授業料無償化制度への所得制限導入についても「すべての学ぶ意思のある高校生の修学を保障するために、所得制限をしないよう、力を尽くしてほしい」とした。
応対した中川正春幹事長代行は「教育関係予算が狙い打ちされている。これはひっくり返していかねばならない」と語った。
ただ、全国学力・学習状況調査は児童・生徒の学習習熟度の傾向とともに学校間格差、地域間格差なども把握でき、問題是正のための対応や教諭の質的向上を図るうえでも有効との見方もあり、全員調査した方が良いとの意見もある。このため、日教組が懸念する数値による序列化や過度の競争になるとの論理のみで片付けられない面があり、安倍政権の下で時間をかけて学力・学習状況調査を行っていく中で、メリットやデメリット、教育への効果などを検証していくことが求められている。(編集担当:森高龍二)