川崎重工決算、最高益更新 防衛・航空・AI需要が業績押し上げ

2026年05月12日 20:53

今回のニュースのポイント

川崎重工業の2026年3月期決算は、事業利益が1,451億円に達し、過去最高を記録しました。防衛省向け製品や民間航空機関連の増収に加え、生成AI向けを含む半導体投資の活況を背景としたロボット需要の拡大が利益を支えています。一方で、米国の通商政策や中東情勢に伴うコスト増がパワースポーツ事業の重しとなっており、地政学リスクへの対応とインフラ事業へのシフトが鮮明になっています。

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 川崎重工業株式会社が12日に発表した2026年3月期連結決算(IFRS)は、売上収益2兆3,112億6,700万円(前期比8.5%増)、事業利益1,451億300万円(同1.4%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益1,081億5,700万円(同22.9%増)となり、増収増益を達成しました。

 堅調な収益を牽引したのは「航空宇宙システム」「精密機械・ロボット」および「エネルギーソリューション&マリン」の3事業です。航空宇宙システムの事業利益は624億円、エネルギーソリューション&マリンは550億円に達し、この2事業だけで全社事業利益の8割近くを稼ぎ出しました。精密機械・ロボット事業においても、半導体製造装置向けロボットや真空ポンプの需要が旺盛で、事業利益は143億円と前期の約2倍に拡大しました。

 エネルギー関連では、LNG運搬船や資源処理発電プラントが堅調に推移したほか、分散型電源やごみ処理施設の更新プロジェクトが拡大しています。また、液化水素サプライチェーンの商用化実証を推進するなど、脱炭素政策やエネルギー安全保障分野への関与を深めています。

 一方で、外部環境の不透明さによる影響も顕在化しています。パワースポーツ&エンジン事業は、米国向け製品に対するコストの上昇や競争激化に加え、中東情勢に伴う物流の混乱が重なり、事業利益は227億円と前期から約4割の減益となりました。また、潜水艦修繕事案等の不祥事を受け、引き続きガバナンス体制の徹底した強化を喫緊の課題としています。

 2027年3月期の業績予想は、売上収益2兆5,600億円、事業利益1,700億円と、さらなる増収増益を見込んでいます。地政学リスクや為替の不確実性を抱えつつも、新時代の社会インフラ需要を取り込む事業構造への転換を進めています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)