森永乳業決算、海外事業が利益牽引 高付加価値シフトで収益改善

2026年05月13日 20:42

今回のニュースのポイント

森永乳業の2026年3月期連結決算は、売上高が前期比1.8%増の5,714億円、営業利益は同16.3%増の344億円となりました。国内では生乳価格や物流費の上昇が利益を圧迫しましたが、ドイツ子会社MILEI社によるホエイたんぱく販売の好調や、海外向けの菌体・育児用ミルクが大きく伸長し、増益を牽引しました。同社は現在、ヨーグルトやアイス、機能性素材といった強みを持つ領域へ経営資源を集中させる「選択と集中」を加速させています。

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 2026年3月期の連結業績は、売上高5,714億5,800万円(前期比1.8%増)、営業利益344億7,900万円(同16.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益225億9,900万円(同313.9%増)となりました。純利益が大幅に増加した要因としては、前期に計上した多額の減損損失が縮小したことが大きく寄与しています。

 国内事業は、消費者の節約志向による需要鈍化や、2025年夏にかけて実施された生乳取引価格の引き上げに伴うコスト増に直面しました。これに対し、ヨーグルトやアイス、飲料等の価格改定を実施したものの、売上数量は期初の想定を上回る減少となりました。一方で、新製造設備が稼働したアイスや、四半期ごとに販売が改善したヨーグルト、底堅い需要が続く業務用乳製品などが収益を支えました。

 特筆すべきは海外事業の躍進です。海外事業の売上高は前期比25.1%増の874億円、営業利益は169億円へと拡大しました。ドイツのMILEI社においてホエイたんぱく市況の高止まりと販売数量増が追い風となったほか、パキスタンでの育児用ミルク販売も順調に推移しました。これにより、全社の営業利益率は6.0%に向上し、ROEも8.4%へと上昇しています。

 現在同社が推進する「中期経営計画2025-28」では、これまでの全方位戦略から脱却し、利益率重視への転換を掲げています。ヨーグルト、アイス、菌体、海外育児用ミルクを「成長領域」と位置付け、設備投資を重点的に配分することで生産効率の向上と機会ロスの解消を図っています。

 財務面では、約100億円の自己株式取得と消却を実施し、資本効率の改善に努めています。年間配当は前期の90円から100円へと増配しました。また、2026年7月1日付で1株につき4株の株式分割を実施し、投資家層の拡大を図ることも発表しています。

 2027年3月期の通期予想は、売上高5,800億円、営業利益320億円(今期比7.2%減)を見込んでいます。中東情勢の緊迫化に伴う原材料・物流コストの上昇影響として40億円を試算し、あらかじめ織り込んだ慎重な計画です。

 国内人口が減少するなか、食品業界では「量の拡大」から「付加価値の向上」への転換が不可欠となっています。森永乳業は乳業メーカーとしての枠を超え、世界的な健康ニーズに応える「機能性素材や海外事業を強みとする企業」へと着実に変貌を遂げつつあります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)