大林組決算、国内建築採算改善で増益 再開発・インフラ更新が追い風

2026年05月13日 20:21

今回のニュースのポイント

大林組の2026年3月期連結決算は、親会社株主に帰属する当期純利益が前年比19.5%増の1,737億5,900万円となりました。国内建築事業における追加・変更工事の獲得や採算性の高い案件の進捗により、利益率が大幅に改善しました。また、海外土木事業の順調な推移や不動産開発物件の売却も利益を押し上げました。一方で受注高は大型案件の反動で減少しており、人手不足やコスト上昇を背景とした選別受注の動きが続いています。

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 2026年3月期の連結業績は、売上高2兆5,862億5,800万円(前期比0.2%減)、営業利益1,946億7,800万円(同36.6%増)、経常利益2,041億9,500万円(同34.1%増)となりました。売上高は国内建築での大型案件進捗の反動等により微減となりましたが、損益面では大幅な改善が見られました。

 収益拡大の主因は、主力である国内建築事業の収益性向上です。適切な追加・変更工事の獲得や、採算性の高いプロジェクトが寄与し、同事業の営業利益は1,040億8,800万円と大幅に伸長しました。また、不動産事業も都市再開発に関連した開発物件の売却が順調に進み、営業利益は前期比24.3%増の199億7,800万円を記録しました。建設大手各社が「施工」以外の収益源として不動産事業を強化するなか、同社も着実に成果を上げています。

 一方で、受注高は前期比9.9%減の2兆8,498億円となりました。これは前期の大型案件受注の反動に加え、人手不足や建設コスト上昇といった制約のなかで、自社の施工キャパシティに見合った「選別受注」を徹底しているためです。足元の受注環境自体は、民間の設備投資や都市再開発、データセンター建設、さらには国土強靱化に資するインフラ更新需要など、底堅く推移しています。

 財務面では、国内建設事業の収支改善により、営業活動によるキャッシュ・フローが2,529億2,000万円と大幅なプラスに転じました。これにより有利子負債は前期末比186億円減の3,440億円に減少し、自己資本比率は40.0%に上昇するなど、財務体質の強化が進んでいます。株主還元についても、DOE(自己資本配当率)5%程度を目安とする方針に基づき、年間配当を前期の81円から88円へ増配しました。次期についても年間94円配当を予定しています。

 2027年3月期の業績予想は、売上高2兆9,450億円、親会社株主に帰属する当期純利益1,570億円を見込んでいます。高採算案件の反動や継続的なコスト上昇を織り込み、営業利益は前期比7.5%減の1,800億円と、慎重な見通しを立てています。

 建設業界では現在、施工ロボットの導入やDX(デジタルトランスフォーメーション)による省人化投資が、競争力を左右する重要な要素となっています。大林組は、インドネシアでの高速道路コンセッション事業への参画など、従来の建設工事に加えて、インフラの運営主体としての役割拡大も目指しています。人手不足という慢性的な課題に対し、いかに生産性を高め、付加価値の高い領域へ進出できるかが持続的成長の鍵となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)