東レ決算、営業益23%減 電池材料減損と中国低迷が重荷

2026年05月14日 09:58

今回のニュースのポイント

東レの2026年3月期連結決算は、売上収益が2兆5,851億円と微増ながら、営業利益は韓国の電池材料事業での約251億円の減損が響き23.7%減の972億円となりました。繊維や水処理は堅調ですが、中国向け電子材料や炭素繊維の産業用途が苦戦。次期はAI需要や航空宇宙の回復を見込み、事業利益1,600億円への増益を計画しています。

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 東レが公表した2026年3月期連結決算(IFRS)は、売上収益が2兆5,851億円(前期比0.9%増)と微増を確保し、本業の儲けを示す事業利益も1,419億円(同0.6%減)とほぼ横ばいを維持しました。一方、営業利益は、韓国子会社のバッテリーセパレータフィルム事業で約251億円の減損損失を計上した影響などにより、972億円と2割超の減益となりました。なお、親会社の所有者に帰属する当期利益は795億円(同2.1%増)と小幅な増益を確保しています。

 セグメント別では、主力の繊維事業が事業利益680億円(前年度比6.0%増)と堅調に推移しました。欧州の衣料需要の弱さや海外品との競争は続いたものの、産業向けでのコスト削減が寄与し、収益を押し上げました。環境・エンジニアリング事業も、中東向けの逆浸透膜や国内プラント建設が支えとなり、事業利益は288億円(同11.2%増)と二桁増益を達成しています。

 一方、機能化成品事業は事業利益563億円(同6.2%減)と振るいませんでした。車載コンデンサ向けフィルムなどは伸長したものの、中国では有機ELパネル需要の一服と競争激化が続き、同分野の利益を押し下げました。炭素繊維複合材料事業も、航空宇宙用途の回復は進んでいるものの、一般産業用途の調整や風力発電翼用途の回復遅れにより、事業利益は176億円(同21.7%減)と大幅な減益を余儀なくされました。

 財務面では、親会社所有者帰属持分比率は51.8%と前期からほぼ横ばいで、D/Eレシオも0.50と、引き続き健全な水準を保っています。株主還元については、年間配当を前期の18円から20円へ増配しました。

 2027年3月期の通期予想は、売上収益2兆8,300億円、事業利益1,600億円と増収増益を見込んでいます。AI需要の拡大や航空宇宙分野の成長を期待する一方で、中東情勢の緊迫化に伴う原材料価格の上昇や供給問題、米国の通商政策の行方を、業績へのリスク要因として織り込んでいます。

 素材業界では、先端半導体やAIサーバー向けなどの高機能材料の需要が広がる一方、汎用品は市況の影響を受けやすく、その差が意識されやすい状況となっています。総合素材メーカーである東レにとって、電池材料などの収益性が課題となっている分野のテコ入れを進め、成長領域へどこまでリソースをシフトできるかが、次期の収益構造を占う焦点となりそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)