高知銀行、増収でも最終減益 金利上昇で収益構造に変化

2026年05月12日 14:17

今回のニュースのポイント

高知銀行の2026年3月期決算は、経常収益が前期比20.8%増の283億円となる一方、最終利益は30.6%減の5億96百万円と増収減益となりました。金利上昇で貸出金利息が増加しましたが、預金利息が約3.4倍に急増し、国債等の債券関係損益も悪化して利益を圧迫しました。経常利益は増えたものの、調達コストや債券売却損の増加が純利益を押し下げた形です。

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 高知銀行が11日に発表した2026年3月期決算は、連結経常収益が前期比20.8%増の283億79百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同30.6%減の5億96百万円となりました。収益面では大幅な増収を確保しましたが、金利上昇に伴うコストとリスクの増大が最終利益を押し下げています。

 増収を牽引したのは資金運用収益の改善です。貸出金利息は前期の98億63百万円から109億42百万円へと約11億円増加しました。さらに株式等売却益が前期の8億96百万円から32億52百万円へと大幅に伸長したことも、収益を押し上げる要因となりました。

 しかし、それ以上に金利正常化局面への転換がもたらす副作用が利益を削りました。預金利息は前期の6億50百万円から22億3百万円へと約3.4倍(+15億53百万円)に急増し、調達コストの上昇が資金利益を圧迫しました。また、国債等債券売却損が20億47百万円に拡大したほか、償還損等を含めた債券関係損益全体では25億77百万円の赤字(前期は14億20百万円の赤字)と損失幅がさらに広がりました。さらに、与信コストである貸倒引当金繰入額も9億11百万円へと大幅に増加しています。

 財務健全性にも金利上昇の影響が表れています。保有債券などの含み損を示す「その他有価証券評価差額金」のマイナスは84億59百万円から136億44百万円へと約51億円拡大しました。これが自己資本の目減りと、自己資本比率の低下(4.3%→3.9%)につながっています。

 主要営業基盤である高知県経済は、設備投資や個人消費の持ち直しにより「全体としては緩やかな回復」とされています。しかし、製造業や卸売・小売業向けなどの貸出金が減少したことから、貸出金残高は前期末比129億円減の7,326億円へと縮小しました。

 同行は次期2027年3月期について、収益力強化と資産健全化を進めることで、純利益20億40百万円(前期比約3.4倍)と大幅な回復を見込んでいます。金利上昇の恩恵を確実に利益へ繋げつつ、拡大する市場リスクにいかに対応するか、地方銀行の市場リスクへの対応力が問われる局面を迎えています。 (編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)