今回のニュースのポイント
ホンダの2026年3月期売上収益は21兆7,966億円(前期比0.5%増)と微増を確保しました。営業損益は4,143億円の赤字、親会社の所有者に帰属する当期損益は4,239億円の赤字に転落しました。EV関連の損失および費用は合計1兆5,778億円に達し、北米での開発中止や戦略見直しが業績を直撃しました。EV関連損失を除いた事業収益力はなお高水準を維持しており、好調な二輪事業や金融サービスが底堅い収益力を示しました。2027年3月期は営業利益5,000億円、純利益2,600億円を見込み、黒字回復を目指します。世界的なEV需要の鈍化を受け、EV中心だった電動化戦略を見直し、ハイブリッド車(HV)や地域別戦略を組み合わせる市場環境を踏まえた柔軟戦略への移行を鮮明にしました。
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ホンダが14日に発表した2026年3月期連結決算において、営業利益を前年度の1.2兆円超の黒字から赤字へ転落させたのは、巨額のEV関連損失および費用でした。ホンダは当期、売上原価や研究開発費、持分法投資損益などを合わせ、四輪事業において合計1兆5,778億円もの損失および費用を認識しました。
主な内訳は、北米で上市・開発中止を決めたEVモデルの製造設備等に係る非金融資産の減損損失および除却損失が8,528億円。さらにEV需要の減速や四輪電動化戦略の見直しに伴い、取引先との契約から生じる損失や補償に関する引当金の繰入額を6,673億円計上しました。背景には北米や中国におけるEV市場環境の悪化があり、ホンダは北米での一部モデル開発中止や、中国での商品投入計画の見直しといった決定をしました。
表面上の赤字は衝撃的ですが、EV関連の一過性損失を除いた事業収益力はなお高水準を維持しています。収益を支えた筆頭は二輪事業です。インドやブラジルといった新興国での販売が好調で、二輪事業の営業利益は7,319億円(前期比10.3%増)と高水準を維持しました。また、金融サービス事業も営業利益2,755億円を稼ぎ出し、収益の下支え役を果たしました。一方で四輪事業は、EV損失を除いても関税負担の増加や中国での価格競争の激化が重しとなっており、利益体質の再構築が課題であることも浮き彫りになりました。
ホンダは次期(2027年3月期)の業績予想について、売上収益23兆1,500億円、営業利益5,000億円、親会社の所有者に帰属する当期利益2,600億円と黒字転換を見込んでいます。黒字化の最大の要因は、前期に計上したEV関連損失(約1.5兆円規模)の縮小であり、販売増や関税影響などのプラス要因を合わせて営業利益を5,000億円まで戻す計画です。戦略の軸足は、需要が堅調なハイブリッド車(HV)と内燃機関車による収益確保へとシフトします。北米ではHVの販売を強化し、EVについては投資のペースを市場環境に合わせて再調整する方針です。
世界自動車市場は今、大きな転換点にあります。中国勢による低価格EVの攻勢が激化する一方で、米国では政策転換や規制緩和の動きが供給網を揺さぶっています。ホンダの今後の焦点は、今回の巨額減損でEV戦略の重荷をどこまで整理できたかにあります。HVで確実に利益を上げつつ、次なるEV再投資のタイミングをいかに見極め、持続的な収益構造を再構築できるかが焦点です。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













