スバル決算、米関税とEV費用で大幅減益 北米依存の再点検が焦点

2026年05月15日 16:28

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スバルの2026年3月期は売上収益が2.1%増の4兆7849億円となった一方、営業利益は90.1%減の401億円でした。

今回のニュースのポイント

スバルの2026年3月期は売上収益が2.1%増の4兆7849億円となった一方、営業利益は90.1%減の401億円でした。米国の追加関税や環境規制クレジット関連損失、BEV関連費用が重く、主力の北米販売減も響きました。次期は営業利益1500億円を見込みますが、北米依存の収益構造と電動化戦略の再構築が焦点になります。

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 株式会社SUBARU(スバル)が15日に発表した2026年3月期連結決算は、売上高にあたる売上収益が前期比2.1%増の4兆7849億円と増収を確保したものの、本業の儲けを示す営業利益は同90.1%減の401億円と、大幅な減益となりました。税引前利益は76.0%減の1074億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は73.1%減の908億円に沈んでいます。売上規模を維持しながらも利益が大きく損なわれた背景には、北米依存の収益構造という同社の課題に、米国の追加関税や環境規制、さらにBEV投資負担といった外部環境の急変が重なった実態が浮き彫りとなっています。

 大幅減益の主要因の一つは、主戦場である米国市場における多額のコスト発生です。米国の追加関税対応に加え、環境規制への対応に伴うクレジット関連損失、さらには将来の電気自動車(BEV)自社生産に向けた先行費用が利益を大きく押し下げました。スバルにとって北米は世界販売の大半を占める最重要市場ですが、それゆえに米国の政策変更や規制強化が業績へ与える影響は他社以上に大きくなります。当期の北米販売台数は前期比3.2%減の70.8万台に留まり、世界販売全体も4.3%減の89.6万台と、販売減も利益を圧迫する要因となりました。

 生産面でも調整を余儀なくされています。国内生産はBEV自社生産に向けた工場整備の影響もあり、前期比12.8%減の52.5万台と大幅に減少しました。一方で海外生産は3.1%増の35.5万台と伸ばしましたが、国内生産の減少を補うには至りませんでした。自動車事業の売上収益は4兆6383億円と微増したものの、事業利益は321億円へと激減。フォレスター等の主力車種の価格構成改善(ミックス改善)で一定の収益向上を図ったものの、関税や規制コスト、さらには中東情勢による海外向け輸送遅延といった物流コスト増や固定費負担を吸収しきれなかった形です。

 一方で、航空宇宙事業は堅調な推移を見せました。売上収益は前期比27.0%増の1416億円、事業利益は35億円へと改善しています。これはボーイング社向けの民間機「中央翼」の納入数が増加したことが寄与しており、自動車事業の苦戦をわずかながら下支えしました。

 財務面では、自己株取得に500億円を投じるなど株主還元を継続しており、年間配当は115円50銭を維持。次期は116円への増配を予想しています。今後の焦点は、2027年3月期の業績回復の実現性です。スバルは次期の売上収益を5兆2000億円、営業利益を1500億円と計画しています。為替前提を1ドル155円と設定し、引き続き米関税影響を織り込みつつも、フォレスターやクロストレックといった内燃機関(ICE)車の商品力強化で収益力を取り戻す方針です。

 スバルは現在、BEV投資を継続しつつも、内燃機関車やハイブリッド車(HEV)を含めた現実的な商品戦略の構築を進めています。次世代への巨額投資を継続しつつ、足元の収益源であるICE車の競争力をいかに維持するか。北米市場への高い依存度がリスクとして顕在化する中、関税や規制コスト、さらにはBEV投資の重圧を吸収できる強靭な収益体質への再構築が、同社の重要課題となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)