今回のニュースのポイント
国土交通省が公表した2025年度の都市鉄道混雑率調査によると、三大都市圏の平均混雑率は東京圏が143%、大阪圏が117%と前年を上回り、名古屋圏は126%で横ばいとなりました。一方で、東京圏の混雑率は新型コロナウイルス禍前の2019年度(163%)には届いておらず、通勤需要の回復とテレワークなどの定着が共存する現在の働き方を映す結果となっています。
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国土交通省は7月28日、2025年度(令和7年度)における都市鉄道の混雑率調査結果を公表しました。通勤・通学時間帯における主要区間の平均混雑率は、東京圏が143%(前年度139%)、大阪圏が117%(同116%)となり、いずれも前年度から上昇しました。一方、名古屋圏は126%(同126%)で前年と同水準の横ばい推移となりました。
東京圏や大阪圏で混雑率が上昇した背景には、企業の出社回帰や経済活動の回復などを背景に、通勤・通学需要が持ち直したことが一因とみられます。鉄道利用者数の回復が進んだとみられる一方、名古屋圏のように前年と同水準にとどまった地域もあり、地域ごとに回復のペースに違いが見られます。
今回の調査結果で最も注目すべきは、コロナ前との比較から見えてくる「働き方の質的な変化」です。
東京圏の平均混雑率は143%まで回復したものの、新型コロナ流行前の2019年度(163%)と比較すると依然として20ポイント低い水準にとどまっています。大阪圏(2019年度126%→117%)や名古屋圏(同132%→126%)においても同様の傾向が見られます。
通勤ラッシュの圧力は確実に強まりつつあるものの、社会全体が完全に「全員が毎日一斉に出社していたコロナ前の状況」へ戻ったわけではありません。出社を基本としつつも、テレワークや時差出勤など柔軟な働き方が一定程度継続している可能性を示していると考えられます。
データからは、輸送人員と輸送力、そして混雑率の関係性がより鮮明に浮かび上がります。
東京圏では鉄道各社が高い輸送力水準を維持しており、輸送人員が回復傾向にあることで混雑率は前年より上昇しました。しかし、輸送人員自体がまだコロナ前の水準まで戻りきっていないことに加え、一定の輸送力が維持されているため、混雑率全体としては過去の大幅な高水準にまでは達していません。
ただし、主要区間の個別データを見れば、東京メトロ日比谷線(三ノ輪→入谷)が163%、JR総武線快速(新小岩→錦糸町)や東京メトロ東西線(木場→門前仲町)が160%に達するなど、特定の時間帯や路線によっては「肩が触れ合い、相当な圧迫感がある」とされる高水準な混雑も散見されます。
こうした通勤ラッシュの再拡大は、個人の生活スタイルや企業経営にも影響を及ぼしています。
出社頻度の増加に伴い、混雑による通勤ストレスや時間帯の工夫が再び課題となる一方、企業にとってはオフィスの適正規模の見直しや、フレックスタイム制・混雑緩和対策の継続といった判断が求められます。鉄道の混雑率は、単なる交通指標にとどまらず、都市の経済活動の動向を映す指標の一つとなっており、企業の勤務制度や不動産需要を測るうえでの重要なシグナルといえます。
今後は、企業の出社回帰の動きがどこまで広がるのか、あるいはテレワークを併用する体制がこのまま定着するのかが焦点となります。あわせて、時間帯による利用の偏りに対し、鉄道各社がダイヤの最適化や運賃の変動制(オフピーク定期券など)をはじめとする混雑分散施策をどう進めていくかが、持続可能な都市交通と働き方の双方を支える鍵となりそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













