住宅は建てても人が足りない 積水ハウスが外構工事を「共創型」へ転換する理由

2026年07月25日 19:04

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積水ハウスグループは、外構工事店との新たなパートナーシップ制度を通じて、人材育成や施工力の維持・強化に取り組む方針を打ち出した。(写真は積水ハウス本社)

今回のニュースのポイント

積水ハウスグループは、外構工事店202社と連携する「エクステリアパートナーシップ制度」を2026年8月から本格運用します。背景には、職人の高齢化や担い手不足により、外構工事の施工力確保が住宅業界全体の課題となっていることがあります。新制度では、人材育成や安定発注、資材調達などを一体的に進め、住宅ストックの質向上を目指します。

本文
 住宅価格の高騰や資材価格の動向に注目が集まる一方で、住宅業界が直面しているもう一つの深刻な壁が「建てる人(職人・技能者)」の確保です。どれほど注文や需要があっても、現場を形にする施工能力がなければ住宅事業は成り立ちません。住宅業界における競争の軸は、今や単なる「受注数を伸ばす競争」から、「施工力と供給能力を維持・育成する体制の競争」へと確実に変化しています。

 こうした課題に対し、積水ハウスグループの積水ハウス建設ホールディングスは、全国の外構工事店との新たな協力の仕組みとして「エクステリアパートナーシップ制度」を立ち上げ、8月1日より本格運用を開始します。全国の外構施工会社202社と提携し、単なる下請け・発注先の確保にとどまらない、長期的な「共創型」の連携体制をスタートさせます。

 なぜ今、住宅メーカーが外構工事店との連携強化に踏み切るのでしょうか。

 その背景にあるのは、建設現場における深刻な構造変化です。新築住宅に加えてリフォームや緑化への関心が高まる一方、現場では職人の高齢化と若手の担い手不足が加速しています。施工力の不足が住宅供給全体のボトルネックになりかねない中で、個々の現場ごとの発注関係に頼る従来手法では、安定した品質と供給量を維持することが困難になりつつあるためです。

 今回の制度が「共創型」と呼ばれる理由は、発注者と請負会社という従来の上下関係を超えた一歩踏み込んだ支援策にあります。

 新制度では、両者で年間工事量の見通しをあらかじめ共有・協議することで、施工会社側の計画的かつ安定的な経営を可能にします。さらに、施工技能者や施工管理者の共同採用・育成支援をはじめ、積水ハウスの工場出荷部材をパートナー店が購入・活用できる体制の整備、経営課題への伴走支援まで実施します。資材供給や人材育成を含めてパートナー企業の成長を支えるこの手法は、まさに施工体制全体を強化する取り組みと言えます。

 また、本取り組みの背景には「外構は住宅の単なる付属物ではない」という価値観の転換があります。

 積水ハウスグループでは、庭木や緑化を推進する「5本の樹」計画などを通じ、外構や庭を建物と一体となった住まいの価値、ひいては街並みや生物多様性を高める重要な要素として捉えています。国土交通省も都市の緑地保全や緑化推進を強めている通り、単に「家を売る」ことにとどまらず、「良質な住宅ストックとまちの価値を形成する」という視点が、これからの住宅ビジネスに求められています。

 人手不足と技能継承という課題は、一企業の努力だけで解決できるものではありません。しかし、受注・発注の枠組みを「共に人を育て、共に成長する」方向へと見直す今回の試みは、持続可能な施工体制をいかに築くかという住宅業界共通の課題への新たなアプローチと言えます。一企業の枠を超えた共創型の仕組みが業界全体へ広がっていくか、今後の動向が注目されます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)