今回のニュースのポイント
人事院は、一般職の非常勤職員に対する給与支給の指針を改正しました。常勤職員との均衡を考慮した給与決定や、通勤手当、長期任用者への期末・勤勉手当相当などの支給について改めて整理し、常勤職員の給与改定時には非常勤職員についても準じた見直しに努めるよう求めています。非正規職員の処遇改善を一層明確に打ち出した内容となっています。
本文
人事院は2026年7月22日付で、一般職の国家公務員である非常勤職員の給与支給に関する指針(給実甲第1064号)の一部改正を各府省に通知しました。本指針は、一般職の職員の給与に関する法律第22条第2項に基づき、非常勤職員に対して常勤職員との均衡(法令用語は「権衡」)を考慮した給与を適正に支給するために定められているガイドラインです。今回の改正では、基本となる給与の決定方法や各種手当に相当する給与の扱い、さらには常勤職員の給与改定に伴う見直しルールなどが整理され、非常勤職員の処遇改善に向けた考え方がより明確化されました。
具体的には、基本給について類似する職務に従事する常勤職員の職務の級の「初号俸」の俸給月額を基礎とし、職務内容や経験、勤務地域を考慮して決定することが改めて明記されました。手当面では、通勤手当に相当する給与の支給について明確化されたほか、任期が相当長期にわたる非常勤職員に対しては、扶養手当や住居手当、期末手当および勤勉手当(ボーナスに相当)の支給に努めることが盛り込まれました。特に期末・勤勉手当については、常勤職員の支給月数を基礎として勤務期間や実績を考慮する方針が整理されています。さらに、給料法の改正などで常勤職員の給与が改定された際には、非常勤職員の給与についても準じた改定に努めるよう求めており、各府省の長に対してこれらの趣旨に沿った独自の規程を整備するよう提示しています。
今回の改正の背景には、公務の現場において非常勤職員が果たす役割が年々増大している実情があります。少子高齢化に伴う深刻な人手不足やデジタル化・専門化が進む業務に対応するため、行政機関においても高度な知識や技術を持つ専門人材や、実務を支える非常勤職員の存在が不可欠となっています。しかし、常勤職員との間に納得感のある処遇の均衡が図られていなければ、優秀な人材の確保や定着は容易ではありません。今回の指針改正は、手当のルールを改めて整理することで、公務における人材確保にもつながる施策と考えられます。
また、この動きは官公庁の中だけで完結する問題ではありません。現在、政府は民間企業に対して「同一労働同一賃金」の徹底や、従業員への投資を重視する「人的資本経営」、さらには賃上げをはじめとする処遇改善を強く働きかけています。そうした中で、行政自らが足元の非正規職員の待遇を見直し、常勤との均衡を図る姿勢を示すことは、民間企業への呼びかけとも連動する動きと言えます。公的セクターが率先して指針を整理したことで、行政自らも処遇改善の方向性を明確にしたものと受け止められます。
もっとも、今回の通知が出されたこと自体で、現場の処遇改善が直ちに完了するわけではありません。最大の焦点は、通知の趣旨を受けて各府省が実際に給与規程をどこまで実効性のある形で整備し、現場の予算措置や運用へと落とし込めるかにかかっています。民間企業に対して処遇改善を要請する立場でもある行政機関が、自らの足元で非常勤職員の処遇向上をどこまで実践できるのか。今回の人事院通知は制度の完成形ではなく、各府省が自らの職場環境を見直し、働く人が実効性を実感できるかどうかが問われるスタートラインと言えそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













