NISAだけでは資産形成は進まない 金融庁がiDeCo改革を重視する理由

2026年07月27日 08:25

画・企業広告、5割以上削減、8割超。オフラインが中心。さらに削減予定6割。

金融庁は、NISAに続く家計の資産形成を支える制度として、企業型DCやiDeCoの利用環境改善を重要課題に位置付けている。制度のシンプル化や運営面の見直しを通じ、より利用しやすい仕組みづくりを目指す。

今回のニュースのポイント

金融庁は、iDeCo加入者が約400万人とNISA口座数(2,800万超)の約7分の1にとどまる現状を示し、制度や運営面の改善が必要と指摘しました。家計の安定的な資産形成を進める上で、企業型DCやiDeCoの利用環境改善を重要課題に位置付けています。

本文
 政府が推進する「資産運用立国」の大きな柱として、少額投資非課税制度(NISA)が広く浸透しています。しかし、その陰で家計の老後資産形成を担うもう一つの重要なツールが伸び悩んでいる実態が浮き彫りになりました。

 金融庁が公表した「資産運用サービスの高度化に向けたプログレスレポート2026」は、NISAと個人型確定拠出年金(iDeCo)の間に生じている大きな格差をデータで示しています。現在、NISAの口座開設者数が2,800万以上となっているのに対し、iDeCoの加入者数は約400万人にとどまります。iDeCoの利用者はNISAの7分の1以下であり、その差は年々拡大し続けていると報告書は指摘しています。

 老後の資産形成において税制面で大きな優遇があるiDeCoが、なぜNISAほど普及しないのでしょうか。報告書では、背景にある制度の複雑さや手続きの負担、指示や記録に関わる高コストな構造が要因として挙げられています。

 NISAと異なり、企業型確定拠出年金(企業型DC)やiDeCoは、多数の主体が関与する仕組みになっています。金融機関(運営管理機関)だけでなく、記録関連業務を担う専門機関(レコードキーパー)や事業主(企業)などが間に入るため、手続きが煩雑になりがちです。また、システムの維持や事務作業にかかるコストが重く、iDeCoを扱う運営管理機関の約7割が赤字となっている実態も明かされました。提供側が採算を取るのが難しいため、サービスの改善や手数料の引き下げが進みにくい構造的な課題を抱えています。

 金融庁はこうした現状に対し、強い問題意識を示しています。政府の方針として、手続きの簡素化やコストの低減につながるよう、制度の効率化・シンプル化に向けた改革を検討していく姿勢を打ち出しました。

 同時に、加入者の運用方法にも改善の余地があるとしています。企業型DCやiDeCoの加入者のうち、20%前後が「元本確保型商品」のみで運用を行っています。物価上昇が進む市場環境下では、金利・利率が物価上昇率を下回る元本確保型商品は、長期運用において実質的な資産価値が目減りし続けるリスクを抱えています。金融庁は各金融機関に対し、加入者の状況に応じた投資教育や、適切な商品選択をサポートするための情報提供を求めています。

 NISAはライフイベントに合わせた柔軟な資産形成に適していますが、企業型DCやiDeCoは、長期の老後資産形成を支える重要な制度です。NISAだけではカバーしきれない老後資産形成を支えるためにも、DC制度が使いやすく持続可能な仕組みへと改善される必要があります。

 金融庁のレポートは、NISAの普及という動きに続き、日本の資産運用インフラが次に取り組むべき課題のありかを示しています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)