CiscoとNVIDIA、AI向け光通信の高速化へ 400Gbps級の新仕様を共同開発へ

2026年10月13日 07:52

光ファイバーイメージ

AIデータセンターの通信能力を支えるネットワーク機器と光ファイバー。AIの計算需要拡大に伴い、高速通信技術の重要性が高まっている(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

米シスコシステムズは2026年10月12日、AIデータセンター向けの光通信およびネットワーク技術を発表しました。米エヌビディアと1レーン当たり400Gbps対応の着脱式光モジュール「USFP」のオープン仕様共同開発を進めるほか、新型半導体「Silicon One G302」の年内出荷計画や主要システムの出荷実績を提示。演算性能に加え通信インフラへも広がるAI設備投資の動向を示しています。

本文
 米シスコシステムズは2026年10月12日、AI(人工知能)データセンターの拡張性と接続性を高める次世代の光通信・ネットワーク技術を発表しました。生成AI需要の拡大に伴い、増大するデータ処理需要に対応するため、計算基盤全体の通信効率と帯域密度を向上させる新技術を提示しています。

 AIインフラにおいては、演算用半導体(GPU)などの性能向上だけでなく、膨大な数のサーバー相互を高速かつ低遅延で接続する通信能力が重要な課題となっています。データ転送の帯域や速度が足かせとなれば、いくら高価な演算半導体を導入してもその計算能力を十分に引き出せないためです。

 こうした背景のもと、同社は米エヌビディアと共同で、1レーン当たり400Gbps(ギガビット毎秒)の通信に対応する着脱式光モジュール「USFP」の業界向けオープン仕様策定を進める計画を発表しました。着脱可能なモジュール形状を維持しつつ、光通信の超高速化と高密度化を狙う取り組みです。

 同社によると、このUSFP技術は従来の200Gbps/レーン対応の光通信技術と比較して、同じ設置面積当たりの帯域密度を4倍に高め、電力効率を1.3倍に改善できる見込みと説明されています。これらは将来の標準化と製品化に向けた設計上の目標値であり、現時点での商用量産実績ではありません。

 またネットワーク半導体では、51.2Tbps(テラビット毎秒)の処理能力を持つ新製品「Silicon One G302」を発表しました。同製品は200Gbps SerDes技術を採用し、1.6Tbps級の光通信や直接液冷に対応する設計で、ラック上部からサーバー群を上位ネットワークへ繋ぐスイッチ向けに2026年末までの出荷が計画されています。

 既存の製品群では、102.4Tbps級半導体「G300」のサンプル提供を進めるとともに搭載システムの初回出荷を開始しました。さらに米マイクロソフトが「P200」搭載システムを本番環境で稼働させている実績も明かしており、共同開発計画、出荷予定、出荷開始、本番稼働の各段階を区別して示しています。

 さらに同社は、単一施設内の通信にとどまらず、複数のデータセンターを遠隔で連携させて一つの巨大な計算設備のように利用する「Scale-Across」の概念も提示しました。地理的に離れた施設間を結ぶ通信遅延の低減や混雑緩和、障害からの迅速な復旧能力が、AI処理全体の効率に影響を与えるためです。

 オープン仕様の策定計画は将来的に異メーカー間の機器接続の選択肢を広げる期待がありますが、現時点で標準化や互換性が確認された状態ではありません。こうした取り組みは、AI投資の波が演算チップのみならず、ネットワーク半導体や光通信部品、液冷設備などの周辺産業全体へ波及している構造を示しています。

 AIインフラを巡る開発競争は、半導体チップ単体の処理能力を競う段階から、広大なデータセンター群を繋ぐ通信インフラの全体最適へと焦点を広げています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)