今回のニュースのポイント
ドイツの産業用接続技術大手ハーティング(HARTING)は2026年10月12日、米エヌビディアの「MGX」エコシステムに給電システム用部品の供給企業として参加したと発表しました。110kW電源シェルフ向けの480V交流用ケーブルに加え、次世代の157A・800V直流対応ケーブルを提示。AIサーバーの高密度化に伴い、電力供給を支える接続部品へと広がる投資構造を示しています。
本文
ドイツに本拠を置く産業用接続技術メーカーのハーティング・テクノロジー・グループは2026年10月12日、米エヌビディア(NVIDIA)のモジュール型AIインフラ構想「MGX」エコシステムに給電システム用部品の供給企業として参加したと発表しました。AIインフラの拡張が加速する中、産業用接続技術をデータセンター向けに応用する動きとして注目されます。
生成AIの普及に伴い、データセンターでは高性能なAIサーバーを集約配置する高密度化が進み、サーバーラック1台当たりの電力需要が増大しています。演算用半導体(GPU)などの性能向上とともに、高電圧・大電流の電力を各機器へ安定して届ける配電インフラや接続部品の重要性が高まっています。
今回同社が提示したのは、建物側の電力設備とAIサーバーラックを結ぶ給電ケーブル(power whip)です。サーバーラック内部の配線スペースが制限される中、大電力の送電と扱いやすさ、安全性を兼ね備えた接続構造が求められています。
同社の発表によると、エヌビディアのVera Rubin NVL72向け3RU・110kW電源シェルフに対応する製品として、100A(アンペア)・480V(ボルト)の交流用給電ケーブルを提供します。110kWは電源シェルフの電力仕様を示す数値であり、給電ケーブル単体の消費電力を示すものではありません。
さらに同社は、次世代の給電方式に対応する製品として157A・800V直流対応ケーブルについても説明しています。従来の480V交流給電から、より高電圧な800V直流給電への移行を支える配電用部品として位置付けられており、高密度AIラックの電力需要拡大に対応する設計となっています。
同じ電力を送る場合、電圧を高めれば必要な電流を抑えられ、配線で生じる損失の低減や導体の小型化につながる可能性があります。ただし、実際の効率は給電方式や設備構成によって異なるため、電力供給設備全体の最適化に向けた検証が進められています。
同社は全世界に約6,500人の従業員を擁し、14カ所の生産拠点と7カ所の研究開発拠点を展開する産業用コネクターの大手企業で、2024/25事業年度の売上高は11億ユーロでした。これらは企業全体の規模を示す数字であり、工場自動化などで培った高信頼の接続技術をAIデータセンター領域へ展開している形です。
今回のMGXエコシステムへの参画は、同社がAIインフラ向け給電部品の供給に取り組むことを示していますが、特定の大口契約や独占供給が決まったことを意味するものではありません。公式資料において、受注額や納入数量、設備投資額、800V対応製品の量産開始時期などは明らかにされていません。
AIインフラを巡る開発競争は、半導体の演算能力だけでなく、大電力を安定して給電するための電力供給設備や接続部品の性能確保へと広がりを見せています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













