原子力人材に産学官「司令塔」発足 84機関超が参加予定、建設・保守の人材確保へ

2026年10月08日 06:29

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原子力人材の確保・育成を産学官で進める「日本原子力人財コンソーシアム(J-AHRC)」が活動を開始した。経済産業省など政府機関のほか、電力会社、メーカー、研究・教育機関など84機関以上の参加を予定する。経済産業省(画像は資料写真)

今回のニュースのポイント

我が国の原子力利用を支える人材の確保・育成に向け、産学官が一体となって推進する「日本原子力人財コンソーシアム(J-AHRC)」が7日、活動を開始しました。既存の「原子力人材育成ネットワーク」の一部機能を改組し、電力会社、プラントメーカー、研究機関、大学、政府機関など84機関以上の参加を予定しています。単なる情報共有にとどまらず、中長期的な人材需給ギャップの可視化から施策の優先順位付け、資源配分、実行、検証までを一体で管理する「司令塔」として、2028年度の本格稼働を目指します。

本文
 我が国の原子力利用を将来にわたって支える人材の確保・育成に向け、産学官が一体となって推進する「日本原子力人財コンソーシアム(J-AHRC)」が10月7日、活動を開始しました。既存の「原子力人材育成ネットワーク」の一部機能を改組した組織で、電力会社やプラントメーカー、研究・教育機関、政府機関など84機関以上の参加が予定されています。業界横断的な人材需給の把握から施策の優先順位付け、実行、検証までを一貫して担う「司令塔」として、2028年度の本格稼働を目指します。

 原子力人材の育成・確保を巡っては、2025年6月の経済産業省・原子力小委員会で司令塔機能の創出が必要であると問題提起されました。これを受け、関係機関による検討や7回に及ぶコアチームでの協議を経て、既存のネットワーク組織を強化・再編する形でJ-AHRCの設立に至りました。

 J-AHRCの最大の軸は、従来の情報共有や提言を中心とした枠組みから、施策の優先順位を定めて資源を配分し、実行までを可視化・管理する組織への転換です。体制図では、意思決定組織(Steering Board)に電気事業連合会や大手電力各社、主要メーカー、日本原子力研究開発機構(JAEA)、経済産業省、文部科学省、原子力規制庁などが名を連ねます。また、実務を統括する実務統括組織(Program Management Office)や常設の「企画推進事務局」を新設し、決定事項を担当、期限、予算、重要業績評価指標(KPI)まで具体化して定期的に検証・改善するPDCA管理体制を構築します。

 活動開始にあたり、J-AHRCは先行施策として9つの項目を掲げています。電気事業連合会を実行主体として、原子力発電所の現代化に向けた業界横断的な対応策や、AI等の新技術の活用を検討します。さらに、民間の研修施設の業界横断での活用や公的な研修施設の拡充、電力会社・サプライヤー、研究機関、規制庁などを横断した学生の研修機会の創出、原子力規制を担う人材の流動性や採用の柔軟性確保などにも取り組みます。

 また、中長期的な戦略立案の前提となる「人材需給ギャップの可視化」も重要施策に位置付けられています。日本原子力産業協会(JAIF)の産業動向調査に新たな設問を追加するなどの実態調査を通じて、原子力業界で将来的に不足する人材の分野、規模、時期の分析を2026年度中をめどに実施する計画です。

 J-AHRCは10月7日の活動開始を皮切りに、先行する9施策の推進を通じて司令塔としての機能を検証していきます。2028年度の本格稼働に向けて既存組織の見直しや最適化を進め、人口減少期における原子力インフラの維持と人材基盤の強化を推進していく方針です。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)