ウォーターブランドの勝ち組となるのは

2013年03月23日 20:31

 近年の日本における夏気候は、猛暑が続く傾向にあり、その中で、ウォーターカテゴリーの商品は、手軽に水分補給できる止渇飲料として、ユーザーニーズが高いといわれている。また、富士経済の調べによると、2011年は福島原発事故の放射能問題によりウォーターカテゴリーは、一気に生活水として需要が膨れ上がり3,042億円と、前年比117.6%と急拡大を遂げたという。なかでも特に国産ミネラルウォーター類が輸入ミネラルウォーター類の需要を奪う形で顕著に拡大。しかし、2012年は前年比3.7%減の2929億円となり、持続的な伸長とはいかなかったようだ。

 そのような中、市場の活性化を図るべく、大手飲料メーカーであるダイドードリンコ<2590>が、同社の定番ウォーターブランド“ミウ”シリーズから「ミウ」、「ミウ クリアピーチ」を4月1日より市場へと投入すると発表した。同商品は、きれいに磨いた純水に、高知県“室戸海洋深層水”由来の成分を加えてシンプルに仕上げ、おいしさを引き出しているのが特徴。また、硬度を日本人にも飲みやすい軟水仕様の80mg/Lに設定することで、口当たりやわらかなスッキリした味わいとなっている。「海洋深層水由来の成分配合の商品を、素材へのこだわりや飲みやすさを訴求していくことで、当社ウォーターブランドの価値を高めるだけでなく、今年春夏の止渇飲料として、ウォーターカテゴリー商品に対する注目度を高めていければと思っております」と担当者は語る。

 また、伊藤園<2593>・伊藤忠ミネラルウォーターズはナチュラルミネラルウォーターブランド「エビアン」を輸入・販売しており、4月22日より「エビアン」750mlペットボトルをリニューアル新発売するという。日本では2012年7月より、女子プロテニスプレーヤーとして生涯グランドスラムを達成し、ファッションモデルとしても活躍する「エビアン」“Live young”アンバサダーの“マリア・シャラポワをアイキャッチに配したラベルを採用。今回のリニューアルでは、シャラポワビジュアルを約2倍に拡大し、名前もカタカナ表記にすることで、視認性を高めたという。さらにコカ・コーラシステムは日本生まれの天然水ブランド「い・ろ・は・す」のフレーバーウォーターシリーズ「い・ろ・は・す みかん」と「い・ろ・は・す りんご」が、安定した支持を得ており、「い・ろ・は・す」™は発売からの累計本数20億本を突破している。同ブランドは、天然水だけではなく、フレーバーウォーターカテゴリーにおいても市場を牽引する存在となっているようだ。

 ウォーターブランドは各社、定番商品を持っており、他の商品に比べロングセラーとなっている場合が多い。しかし前述の通り、爆発的な売上を獲得する存在ではないようだ。また一時、ブームのような盛り上がりを見せることがある茶系飲料や炭酸飲料などと比べると、止渇飲料としての認知度は、それほど高くない印象なのも否めない。今後、このウォーターブランドを各社がどのような展開でアピールしていくのか、注目していきたいところだ。(編集担当:宮園奈美)