ぽっちゃりさん”専門誌『ラ・ファーファ』、ダイエットブームに抵抗できるか

2013年03月24日 11:04

 ニッセンの「スマイルランド」や、「アズノゥアズ オオラカ」など、ふくよかな女性をターゲットにしたブランドが人気を集める中、日本初の“ぽっちゃりさん”専門ファッション誌『la farfa(ラ・ファーファ)』がぶんか社より創刊された。身体が大きな女性でもおしゃれを楽しもうというメッセージを打ち出し、第1号のイメージモデルはタレントの渡辺直美がつとめた。同誌はテレビやネットのニュースで話題を集め、発売前に重版がかかるほどの売れ行きだ。

 内容をみてみると、オーディションで選ばれた「LLサイズ以上」の読者モデルたちが大きめサイズのファッションを活き活きと着こなしている。着こなしが難しいとされるボーダー柄は細めを選び、濃いオレンジ色のキュロットスカートで下半身を引き締めるなど、具体的なテクニックも満載だ。大きいサイズの洋服は無難なデザインになりがちだが、フェミニン系からモード系まで幅広いテイストに挑戦しているのも新しい。全体的に明るい紙面づくりで、他の女性誌によくある読者投稿欄や読み物ページはなく、徹底して「ファッション」に注力しようとしているようだ。

 こうした「ぽっちゃりさん向け」がブームになる一方で、若い女性の間では痩せすぎが問題となっている。農林水産省によると、20代女性の22.5%が痩せ気味であるにもかかわらず、44%が「自分は太っている」と考え、55.8%が体重を減らそうとしている。実は最近の若い日本人女性は戦後直後よりも痩せているのだが、加熱するダイエットブームが収まる気配はない。

 『la farfa』の売れ行きは好調というが、創刊号に広告はほとんど入っていなかった。一般的な女性誌では、ページ数の半分近くが化粧品メーカー、ダイエット食品や美容整形外科の広告であることが多いが、同誌にはこうした広告主がいっさい出稿していない。これが日本の女性ファッション誌の現状ではある。若い女性のダイエット志向が強まる中、同誌は広告に頼らず「ぽっちゃり文化」を広めることはできるだろうか。